造成工事トラブルの対処方法は?予防策と併せて弁護士がわかりやすく解説

造成工事に関して、トラブルに発展することがあります。では、造成工事のよくあるトラブルにはどのようなものがあるのでしょうか?また、造成工事のトラブルを予防するには、どのような対策を講じればよいのでしょうか?
今回は、造成工事でよくあるトラブルや造成工事のトラブルの予防策、造成工事でトラブルに発展した場合の対処法などについてくわしく解説します。
なお、当事務所(アクセルサーブ法律事務所)は建設・不動産業界の法務に特化しており、造成工事のトラブルに関するご相談についても豊富なサポート実績を有しています。造成工事がトラブルに発展してお困りの際や、造成工事のトラブルを避ける対策を講じたい際などには、アクセルサーブ法律事務所までお気軽にご相談ください。

弁護士 小澤 裕也
弁護士 小澤 裕也
アクセルサーブ法律事務所
代表弁護士
愛知県立一宮高校卒業
立教大学法学部卒業
明治大学法科大学院修了
造成工事とは
造成工事とは、建物などを建てるために土地を整備する工事です。
具体的には、建物を建てるために傾斜地や高低差のある土地について切土・盛土をしたり、樹木・土砂を撤去したり、地盤を改良したりする工事がこれに該当します。
なお、造成工事の内容や規模、工事場所によっては、宅地造成及び特定盛土等規制法、いわゆる盛土規制法に基づく許可や届出が必要となる場合があります。そのため、実際に造成工事を行う際は、工事内容だけではなく、対象地が規制区域内にあるか、許可や届出の対象となる規模かも確認することが重要です。
造成工事のよくあるトラブル
続いて、造成工事のよくあるトラブルを4つ紹介します。
- 地中から埋設物が発見される
- 地盤沈下・ひび割れ・排水不良などが生じる
- 施主から仕上がりがイメージと異なると主張される
- 近隣住民などからクレームが入る
地中から埋設物が発見される
1つ目は、地中から埋設物が発見されるトラブルです。
造成工事を行う中で、地中から埋設物が発見されることがあります。埋設物は以前建っていた建物基礎や建設ガラなど、簡単には除去できないものである場合も多いでしょう。
地中埋設物の発見が施工会社の施工不良によるものではない場合、契約内容や見積条件、事前調査の範囲、施主から提供された資料の内容などによっては、地中埋設物の除去費用について追加費用を協議できることがあります。しかし、当然に追加料金を請求できるとは限らず、契約書や見積書で地中埋設物発見時の取扱いが明確に定められていない場合には、施主がこれに納得せず、工事が中断することがあるでしょう。
また、中断時点までの工事について施主に支払いを求めても、支払を拒否されてトラブルに発展するケースもあります。
地盤沈下・ひび割れ・排水不良などが生じる
2つ目は、地盤沈下やひび割れ、排水不良が生じるトラブルです。このような施工不良が生じ、完成した仕事の目的物が契約内容に適合しないといえる場合には、施主から施工会社に対して契約不適合責任が追及される可能性があります。
ただし、不具合が施主の提供した資料・材料や施主の指図に起因する場合などには、施工会社が契約不適合責任を負わない、または責任が制限されることもあります。具体的にされる可能性がある請求は、後ほどくわしく解説します。
施主から仕上がりがイメージと異なると主張される
3つ目は、施主から仕上がりがイメージと違うと主張されるトラブルです。
この場合、施工会社のミスであるのか施主の思い違いであるかの意見が対立する可能性があります。施工ミスではない場合、施工会社は図面や施主とのやり取りの記録などから自社に問題がないことを説明していく必要が生じるでしょう。
近隣住民などからクレームが入る
4つ目は、近隣住民などからクレームが入るトラブルです。工事の音や振動、作業員のマナー、工事車両の通行などについて近隣住民などからクレームが入る場合があります。
クレームが入ったら、施工会社としては真摯に対応すべきでしょう。施工会社と近隣住民との間のトラブルが深刻化した場合、施主と近隣住民の関係悪化につながるおそれがあるためです。
また、工事の騒音・振動・粉じん・排水などにより近隣の建物や土地、生活環境に損害が生じた場合には、不法行為責任や契約上の責任が問題となることもあります。
そのため、単なるクレーム対応にとどまらず、発生原因や損害の有無を確認し、必要に応じて法的責任の有無も検討することが重要です。
造成工事のトラブルを避ける対策
造成工事のトラブルを避けるには、どのような対策を講じればよいのでしょうか?ここでは、主な対策を5つ解説します。
- 施主と密なコミュニケーションをとる
- 自社の技術力を向上させる
- 重要な点は書面ですり合わせる
- 地中埋設物発見時の対応や中途解除時の費用負担を契約書に明記する
- 近隣住民に挨拶する
なお、アクセルサーブ法律事務所はトラブルが起きてからの対応のみならず、トラブルを避ける「予防法務」にも力を入れています。造成工事のトラブル予防について相談できる弁護士をお探しの際は、アクセルサーブ法律事務所までご相談ください。
施主と密なコミュニケーションをとる
造成工事でトラブルを避けるには、施主と密なコミュニケーションをとるとよいでしょう。施主とコミュニケーションをとることで、完成後に「イメージと違う」などと主張されトラブルとなる事態を回避しやすくなります。
自社の技術力を向上させる
造成工事でもっとも避けるべきトラブルは、自社の施工不良によるトラブルでしょう。自社の技術力向上をはかり、下請企業も慎重に選定することが、施工不良によるトラブルを避けることにつながります。
重要な点は書面ですり合わせる
造成工事で「イメージと違う」などのトラブルを避けるため、重要な点は書面ですり合わせるとよいでしょう。
たとえば、仕上がりのイメージ図面を共有する際にあくまでもイメージであり実際の完成図とは異なる可能性がある旨を明記することや、工事内容に変更があった際に変更事項や変更後の納期などについて書面で合意を取り交わすことなどが検討できます。
地中埋設物発見時の対応や中途解除時の費用負担を契約書に明記する
地中埋設物の発見によるトラブルを避けるため、契約書に地中埋設物発見時の対応を定めておくと良いでしょう。具体的には、地中埋設物が発見された際は追加工事として別途費用がかかる旨や、工期が延びる旨などが挙げられます。
また、地中埋設物の規模や追加工事の費用によっては、施主が工事を取りやめる場合もあります。
その場合に備え、地中埋設物の発見を原因として工事を中止・解除する場合であっても、既に施工した部分のうち施主が利益を受ける部分に相当する報酬や、注文者による解除に伴って施工会社に生じる損害の負担が問題となることを契約書に明記しておくとよいでしょう。
損害賠償額の予定や違約金を定める場合には、金額や算定方法の合理性、施主が消費者である場合の消費者契約法上の制限にも注意が必要です。
近隣住民に挨拶する
近隣住民などとのトラブルを避けるため、工事に先立って近隣住民に挨拶や工期の説明などをしておくとよいでしょう。
特に、土埃が舞いやすい工事などをする日程などを事前に伝えておくことをおすすめします。事前にわかっていれば、近隣住民もその日は外に洗濯物を干すのを避けるなどの対策ができ、トラブル予防につながるためです。
造成工事でトラブルとなった場合に施主からされ得る主な請求
造成工事で施工不良などがあった場合、施主からどのような請求がされる可能性があるのでしょうか?ここでは、想定される主な請求を4つ解説します。
- 追完請求
- 報酬減額請求
- 損害賠償請求
- 契約解除
なお、請負契約における契約不適合責任については、施主が不適合を知った時から1年以内にその旨を施工会社へ通知しなければ、原則として追完請求、報酬減額請求、損害賠償請求、契約解除をすることができなくなる点にも注意が必要です。
追完請求
1つ目は、追完請求です。追完請求とは、目的物の修補、不足分の引渡しその他の方法による履行の追完を求めることです。造成工事のトラブルの場合、具体的には施工不良部分の修繕や工事のやり直しを求めることなどがこれに該当するでしょう。
報酬減額請求
2つ目は、報酬減額請求です。報酬減額請求とは、不適合(不備)の内容に応じて請負報酬の減額を求めるものです。
ただし、報酬減額請求ができるのは、履行の追完を催告したにもかかわらず相当の期間内に追完がされない場合のほか、追完が不能な場合、施工会社が追完を拒絶する意思を明確に表示した場合、または契約の性質や当事者の意思表示により追完請求が期待できないことが明らかな場合など、一定のケースに限られます。
また、不適合が施主の責めに帰すべき事由による場合や、施主の提供した材料・指図に起因する場合には、報酬減額請求が認められないことがあります。
損害賠償請求
3つ目は、損害賠償請求です。損害賠償請求とは、相手の債務不履行または不法行為によって生じた損害の賠償を、金銭の支払いによって求めるものです。
もっとも、債務不履行に基づく損害賠償請求では、債務者がその債務不履行について責任を負わないといえる場合には、損害賠償責任が否定されることがあります。
造成工事のトラブルにおいては、主に債務不履行責任(民法415条)に基づく請求が問題となりますが、場合によっては不法行為責任(民法709条)に基づく請求がされることもあります。
たとえば、造成工事に施工不良があったことで不同沈下が起き建物が損傷した場合に、建物の補修費用の支払いを求めるものなどがこれに該当します。また、修繕工事の期間その土地や建物が使えず他の物件を借りる必要が生じる場合には、賃借費用の支払いを求められる場合もあるでしょう。
なお、損害賠償請求は追完請求や代金減額請求と併せて請求される可能性もあります。
契約解除
4つ目は、契約解除です。契約解除とは、契約関係を解消し、原則として当事者に原状回復義務を生じさせる制度です。
ただし、造成工事のように既に工事が進んでいる請負契約では、解除時点までに施工された部分の取扱いや報酬、損害賠償の有無が別途問題となります。
原則として、まず相当の期間を定めて履行の追完を催告し、その期間内に追完がされない場合に契約を解除することができます(民法541条)。
また、追完が不能な場合、施工会社が追完を拒絶する意思を明確に表示した場合など、民法542条所定の事由がある場合には、催告をすることなく契約を解除できることがあります。
ただし、催告解除については、不適合の内容がその契約および取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、契約を解除することができません(民法541条ただし書)。また、無催告解除についても、民法542条の要件に該当するかを個別に検討する必要があります。
そのため、造成工事の不具合があるからといって、常に施主が直ちに契約を解除できるわけではありません。
造成工事でトラブルとなった場合の対処法
造成工事でトラブルが発生した場合、どのように対処すればよいのでしょうか?ここでは、施工不良があると主張されている場合を前提に、一般的な対処の流れを解説します。
- 現場の状況と施主の主張などをよく確認する
- 弁護士に相談して対処法を検討する
- 施主と交渉する
- ADRで解決をはかる
- 訴訟で解決をはかる
現場の状況と施主の主張などをよく確認する
はじめに、現場の状況をよく確認して、施工不良の有無などを把握します。また、施主の主張を聞き、施主が何を求めているのかの把握に努めましょう。
実際に施工不良があり、施主の主張も自社として妥当と判断されるものであれば、施主に対して誠実に対応します。ただし、謝罪の内容や対応の具体的な方法については、後の法的手続において不利に働く可能性もあるため、事前に弁護士に相談したうえで慎重に判断することをおすすめします。
弁護士に相談して対処法を検討する
施工不良の有無について施主との間で意見が食い違っている場合や、確かに施工不良はあるものの施主の要求内容に問題があると感じる場合などには、弁護士にご相談ください。
弁護士に相談することで法的な観点から状況が整理でき、その後の具体的な対処法を検討しやすくなります。
造成工事のトラブルでお困りの際は、アクセルサーブ法律事務所までご相談ください。当事務所は建設・不動産業界の法務に注力しており、事案の内容や契約関係、現場の状況を踏まえた対応方針をご提案します。
施主と交渉する
弁護士からのアドバイスを受け、施主と交渉をして解決をはかります。直接交渉をしても合意が得られない場合や、すでに関係が悪化しており直接的な交渉を避けたい場合は、弁護士が代理で交渉します。
ADRで解決をはかる
弁護士が代理しても交渉が成立しない場合は、調停・あっせんなどのADRによる解決をはかります。ADR(Alternative Dispute Resolution:裁判外紛争解決)とは、訴訟手続によらずに紛争を解決する手続の総称です。
調停は当事者双方の合意による解決を目指すものであり、訴訟と比べて簡易・迅速な解決が期待できます。
なお、建設工事に関するADRとしては、建設工事紛争審査会(建設業法25条以下)によるあっせん・調停・仲裁を利用できる場合があります。ただし、仲裁を利用するには、当事者間に仲裁合意があることが必要です。
訴訟で解決をはかる
ADRなど他の方法で解決に至らない場合、訴訟で解決をはかることとなります。訴訟では、諸般の事情が考慮されたうえで、裁判所が最終的な結論(判決)を下します。
下された判決は、当事者のいずれもが控訴しないまま控訴期間(判決書の送達を受けた日の翌日から2週間)が経過することで確定します。確定した給付判決などは当事者双方を拘束し、敗訴した当事者が任意に履行しない場合には、判決内容に応じて強制執行の対象となります。
造成工事のトラブルでお困りならアクセルサーブ法律事務所へご相談ください
造成工事のトラブルでお困りの際は、アクセルサーブ法律事務所までご相談ください。ここでは、当事務所の主な特長を3つ紹介します。
- 建設・不動産法務に強い
- 予防法務に注力している
- 実践的なアドバイスを得意としている
建設・不動産法務に強い
アクセルサーブ法律事務所は、建設・不動産業界の法務に特化しています。これらの業界で活躍される事業者様へのサポート実績が豊富であり、業界実態を踏まえた的確な助言・サポートを提供できます。
予防法務に注力している
結果的にトラブル解決に至ったとしても、トラブルが発生してしまえば、その対応に多大な時間や精神的な負担が生じるでしょう。そこで、アクセルサーブ法律事務所はトラブルが起きてからのサポートのみならず、トラブルを防ぐ「予防法務」にも力を入れています。
実践的なアドバイスを得意としている
法的な見通しを踏まえた対応であっても、事業上の影響や取引先との関係、解決までに要する時間・費用を考慮すると、最適な対応は事案ごとに異なります。
そこで、アクセルサーブ法律事務所は机上の空論のようなアドバイスではなく、建設・不動産業界の経営実態を踏まえた実践的なアドバイスを得意としています。
造成工事のトラブルに関するよくある質問
最後に、造成工事のトラブルに関するよくある質問とその回答を2つ紹介します。
造成工事のトラブルを避ける対策は?
造成工事のトラブルを避ける対策としては、自社の技術力を向上させることや施主と密なコミュニケーションをとること、重要な事項は書面を取り交わすことなどが検討できます。
また、地中埋設物が発見された場合の費用負担、追加工事の発注手続、工期延長、変更契約、近隣対応、契約不適合が判明した場合の対応方法などを契約書に明記しておくことで、予防できるトラブルも少なくありません。
造成工事のトラブルは誰に相談すればよい?
造成工事でトラブルが発生したら、建設業界の法務にくわしい弁護士にご相談ください。
お困りの際は、アクセルサーブ法律事務所までご相談ください。
まとめ
造成工事で生じやすいトラブルや造成工事でトラブルを避ける対策、造成工事でトラブルとなった場合の対処法などを解説しました。
造成工事で生じやすいトラブルとしては、地盤沈下・ひび割れ・排水不良などの施工不良に関するもの、施主から仕上がりがイメージと違うと主張されるもの、地中埋設物の発見に関するものなどが挙げられます。
造成工事でトラブルを避ける対策としては、自社の技術力を向上させることや、契約書などの書面を整備することなどが挙げられます。弁護士のサポートを受けることで、契約書の整備に加え、見積書・変更合意書・近隣対応記録などの実務書面を適切に整えやすくなり、トラブル予防やトラブル発生時のスムーズな解決につながります。
アクセルサーブ法律事務所は建設・不動産法務に特化しており、造成工事のトラブルについても豊富なサポート実績を有しています。造成工事に関してトラブルが発生してお困りの際や造成工事のトラブルを避ける対策を講じたいとお考えの際などには、アクセルサーブ法律事務所までお気軽にご相談ください。

弁護士 小澤 裕也
弁護士 小澤 裕也
アクセルサーブ法律事務所
代表弁護士
愛知県立一宮高校卒業
立教大学法学部卒業
明治大学法科大学院修了


