建設資材の高騰による請負代金の額の見直しの進め方は?弁護士がわかりやすく解説

近年、国際情勢、為替、エネルギー価格、物流費、需給バランスなど複数の要因により、建設資材価格の高騰が問題となっています。資材の仕入れ価格が高くなったことで、当初取り決めた請負代金の額では施工が難しくなっている現場も少なくありません。
では、建設資材が契約当初から高騰したことを理由に、いったん取り決めた請負代金の額を見直すことはできるのでしょうか?また、建設資材が高騰した際に請負代金の額をスムーズに見直すには、どのような対策を講じればよいのでしょうか?今回は、建設資材が高騰した際の請負代金の額の見直しについて、弁護士がくわしく解説します。
なお、アクセルサーブ法律事務所は建設業界の法務に特化しており、請負代金の額の見直しについても豊富なサポート実績を有しています。
建設資材が高騰したことで請負代金の額を見直したいとご希望の際や、これから締結する契約について資材が高騰した際に請負代金の額をスムーズに見直すための対策を講じたいとお考えの際などには、アクセルサーブ法律事務所までお気軽にご相談ください。

弁護士 小澤 裕也
弁護士 小澤 裕也
アクセルサーブ法律事務所
代表弁護士
愛知県立一宮高校卒業
立教大学法学部卒業
明治大学法科大学院修了
契約締結後に建設資材が高騰した場合に生じる主な影響
工事請負契約を締結してから建設資材が高騰すると、さまざまな影響が生じます。はじめに、建設資材の高騰によって生じる可能性がある主な影響を3つ紹介します。
- 原価割れでの施工
- 資金繰りの悪化
- 品質の低下
原価割れでの施工
建設工事の請負代金の額は、必要な資材の仕入れにかかる費用や人件費などを積み上げて、ある程度利益が出る金額とすることが多いでしょう。
しかし、計算の根拠とするのは「見積もり時点で想定される仕入れ価格」であることが一般的です。将来、建設資材が高騰する可能性までは、十分に加味していないことも少なくないでしょう。
契約を締結した時点では適正な利益が取れる見込みであったとしても、その後建設資材が高騰すれば、原価割れで工事をすることになるリスクが生じます。
資金繰りの悪化
建設業界では、工事の請負代金の額が入金される前にその工事に必要な資材を仕入れることが多い傾向にあります。つまり、「入ってくるお金よりも、出ていくお金が先になりやすい」ということです。
それぞれの工事で十分に利益が出ているうちは、この流れでも問題は表面化しないでしょう。しかし、建設資材が高騰して「出ていくお金」が増えると、資金繰りが悪化するおそれが生じます。
品質の低下
建設資材が高騰したものの請負代金の額の見直しが難しい場合、取り決めた金額で何とか工事を終えなければなりません。しかし、自社や自社の従業員を守るためには、資金をショートさせるわけにはいかないでしょう。
その結果、コスト削減を強いられることで、利益の圧迫、人員配置の見直し、工程管理の困難化などが生じるおそれがあります。もっとも、設計図書や契約内容に適合しない資材の使用、必要工程の省略などは、契約不適合責任や法令違反の問題につながり得るため、避けなければなりません。
建設資材の高騰を理由に請負代金の額を見直したい場合の流れ
建設資材の高騰を理由に請負代金の額を見直したい場合、どのような流れで進めればよいのでしょうか?ここでは、請負代金の額を見直したい場合の一般的な流れを紹介します。
- 契約書の内容を確認する
- 弁護士に相談する
- 請負代金の額の変更が相当であることを示す資料を用意する
- 契約書の記載や建設業法上の要件を踏まえて、請負代金の額の変更協議を申し入れる
- 合意内容を書面化する
契約書の内容を確認する
建設資材の高騰を理由として請負代金の額を見直したい場合、まずは注文者や元請企業など、契約の相手方と取り交わした契約書の内容を確認しましょう。
契約書は、当事者間を縛るルールを定めた書類です。つまり、建設資材の高騰を理由として請負代金の額の変更を求められるかを検討するにあたっては、まず契約書上の価格変動条項、変更協議条項、不可抗力条項などを確認することが重要です。
もっとも、契約書の記載だけでなく、建設業法、民法、交渉経緯、見積条件、資材高騰の程度なども踏まえて検討する必要があります。
弁護士に相談する
契約書を確認したら、契約書を持って弁護士に相談しましょう。突然出向いても相談に乗ってもらえない可能性が高いため、事前に電話などで予約をします。
弁護士に契約書を見てもらうことで、「そのケースにおいて請負代金の額が見直せそうかどうか」の見通しが立てられます。
相談先の弁護士は、建設業界の法務に強い事務所を選ぶとよいでしょう。建設資材の高騰を原因とする請負代金の額の見直しをご希望の際は、アクセルサーブ法律事務所までご相談ください。
請負代金の額の変更が相当であることを示す資料を用意する
契約書の定めから請負代金の額を見直せる可能性があったとしても、資材が高騰したことを口頭で伝えるだけで請負代金の額の引き上げが認められる可能性は低いでしょう。
そのため、相手方との交渉に臨む前に、請負代金の額の見直しが正当であることを示す資料を準備する必要があります。具体的には、「何がどれだけ値上がりしたのか」が分かる資料や、「請負代金の額をどの程度値上げするのが相当であるか」を示す資料などを用意するとよいでしょう。
契約書の記載や建設業法上の要件を踏まえて、請負代金の額の変更協議を申し入れる
資料が用意できたら、注文者や元請企業などの契約相手方に対し、請負代金の額の変更協議を申し入れます。
一般的には、契約書では「請負代金の額見直しの協議ができる」との記載に留まることが多いでしょう。そのため、まずは相手方に金額改定の協議を申し入れたうえで、具体的な見直し内容について協議(交渉)することとなります。
合意内容を書面化する
建設資材の高騰に伴う請負代金の額の変更について契約相手方との合意が成立したら、変更内容を書面化します。
建設業法19条1項は、建設工事の請負契約の締結に際し、一定の事項を書面に記載し、署名または記名押印をして相互に交付しなければならないと定めています。また、同条2項は、同条1項に掲げる事項に該当する契約内容を変更するときも、変更内容を書面に記載し、署名または記名押印をして相互に交付しなければならないと定めています。
なお、一定の要件を満たせば、電子契約などの電磁的措置によることも可能です。


建設資材が高騰した際にスムーズに請負代金の額を見直すために講じたい対策
建設資材が高騰したとしても、契約書に適切な記載がなければ請負代金の額改定のハードルは高くなります。
そのため、これから工事請負契約を締結する工事については、今後のさらなる建設資材高騰に備えた対策を事前に講じるべきでしょう。ここでは、建設資材が高騰した際にスムーズに請負代金の額を見直せるよう、契約締結前に講じるべき主な対策を5つ解説します。
- 契約書に価格変動条項を盛り込む
- 契約書に請負代金の額を見直す手続きフローを盛り込む
- 材料費を見積書に分離して記載する
- 単価指数を定期的に確認する
- 契約締結前に弁護士に相談する
契約書に価格変動条項を盛り込む
1つ目は、契約書に価格変動条項を盛り込むことです。
価格変動条項は「スライド条項」と呼ばれることもあります。これは、契約締結後に資材価格、労務費、物価などに一定の変動が生じた場合に、請負代金の額や工事内容の変更について協議・請求できる要件、手続、算定方法などを定める規定です。
このような条項を契約書に盛り込むことで、資材が高騰した際の請負代金の額の見直し交渉がスムーズとなります。
契約書に請負代金の額を見直す手続きフローを盛り込む
2つ目は、請負代金の額を見直す手続きフローを契約書に盛り込むことです。
価格変動条項が契約書に入っていても、具体的な手順が分からなければ混乱が生じるかもしれません。そこで、「合意が成立したら合意書を取り交わす」など、具体的な手続きを契約書に盛り込むことが検討できます。
材料費を見積書に分離して記載する
3つ目は、材料費を見積書に分離して記載することです。
資材が高騰した際に請負代金の額の改定を申し入れることができたとしても、実際に増額できる金額は交渉によって決まります。交渉がスムーズにまとまるよう、見積もり段階から材料費を分離して表示するとよいでしょう。
たとえば、見積書に「工事一式費用」とだけ表示している場合、このうちいくらが建設資材の仕入れにかかる費用であるかわかりません。そのため、「A資材が見積もり時点の200万円から300万円に高騰したので、100万円の値上げを認めてほしい」と交渉しても、100万円の値上げは認めてもらえない可能性があります。
一方で、見積書の段階からA資材の仕入れにかかる費用を「200万円」と記載している場合、これが300万円に値上がりした根拠資料を示すことで、増額協議における説明がしやすくなります。
単価指数を定期的に確認する
4つ目は、単価指数を定期的に確認することです。
建設資材の価格動向を確認する指標としては、一般財団法人建設物価調査会が公表する「建設資材物価指数」などがあります。同指数は、建設工事で使用される資材の総合的な価格動向を示すもので、2015年基準の指数などが公表されています。
そのうえで、たとえば「関連する資材価格指数や実際の仕入価格が一定割合以上上昇した場合には、契約書の価格変動条項を確認し、根拠資料を整理したうえで変更協議を検討する」などの社内ルールを定めることで、早期に対応しやすくなります。
契約締結前に弁護士に相談する
5つ目は、契約締結前に弁護士に相談することです。
契約を締結してしまってから、内容を変更することは容易ではありません。そのため、契約を締結する前に弁護士に契約内容を確認してもらうとよいでしょう。
事前に確認を受けることで、必要に応じて契約条項の追加を交渉することなどが可能となります。
アクセルサーブ法律事務所は建設業界の法務に特化しており、顧問契約にも対応しています。建設業に強い弁護士をお探しの際は、アクセルサーブ法律事務所までまずはお気軽にご連絡ください。
建設資材高騰時の契約見直しに関する建設業法の改正内容
建設業界における人手不足や資材価格の高騰などを背景に、令和6年に建設業法等が改正されました。このうち、価格転嫁に関する契約書の法定記載事項の追加や、おそれ情報の通知・変更協議に関する規定は、令和6年12月13日に施行されています。
なお、同改正法の他の一部規定は令和7年12月12日に施行され、改正法全体としては同日に全面施行されています。
この改正により、資材の価格変動などがあった場合における工事内容の変更や請負代金の変更、算定方法に関する事項を工事請負契約に盛り込むべきこととされています(建設業法19条1項8号)。
つまり、建設工事の請負契約書には、価格等の変動又は変更に基づく工事内容の変更、請負代金の額の変更、その額の算定方法に関する定めを記載する必要があります。単に「変更しない」「変更を認めない」とするなど、協議を前提としない規定は、建設業法19条1項の趣旨に反するものとされています。
受注者側としては、発注者から差し入れられた工事請負契約書の案にこの内容が入っていない場合、建設業法の規定に従って条項を盛り込むよう指摘しやすくなるでしょう。
また、建設業者が、契約締結前に建設業法20条の2第2項に基づくおそれ情報(例えば、主要な資機材の供給不足・納入遅延・価格高騰など、工期又は請負代金の額に影響を及ぼすおそれのある一定の事象)を通知し、その後、当該事象が実際に発生した場合には、注文者に対し、同法19条1項7号又は8号の定めに従って、工期、工事内容又は請負代金の額の変更について協議を申し出ることができます。
この協議申出を受けた注文者は、申出が根拠を欠く場合その他正当な理由がある場合を除き、誠実に協議に応ずるよう努めなければなりません(建設業法20条の2第3項・第4項)。
これにより、契約締結前に必要なおそれ情報を通知していた場合には、その後に当該事象が発生したとき、建設業者である受注者は、契約上の定めに従って、工期、工事内容又は請負代金の額の変更協議を申し入れやすくなりました。また、契約書に適切な変更方法の定めがない場合には、建設業法19条1項8号との関係でも問題となり得ます。
このように、資材の高騰が生じた際に価格を適切に転嫁しやすい direction へと、建設業法が改正されています。これは、受注者にとっての追い風であるといえるでしょう。
建設資材の高騰による契約見直しでお困りの際はアクセルサーブ法律事務所へご相談ください
建設資材の高騰による契約見直しでお困りの際は、アクセルサーブ法律事務所へご相談ください。ここでは、当事務所の主な特長を3つ紹介します。
- 建設・不動産業界に特化している
- 予防法務に力を入れている
- 実践的なアドバイスを得意としている
建設・不動産業界に特化している
アクセルサーブ法律事務所は、建設・不動産業界に特化しています。資材高騰による請負代金の額の増額についても豊富なサポート実績を有しているため、安心してご相談いただけます。
予防法務に力を入れている
トラブルが起きれば、たとえ最終的には解決に至ったとしても、解決までに多大な費用や時間、精神力を要するでしょう。
そのため、アクセルサーブ法律事務所では「助け合い、称え合い、共に成長し、喜び合う―それが当たり前の世界を創る」ことを使命であると考え、トラブルを未然に防ぐ予防法務に力を入れています。
実践的なアドバイスを得意としている
せっかく弁護士に相談しても、法的な正しさだけを追求するアドバイスがなされれば、机上の空論となってしまうことでしょう。
アクセルサーブ法律事務所は建設会社の経営実態を深く理解したうえで、法的なルールは守りつつもその先にある「事業のさらなる発展・目標達成」をも重視したアドバイスを提供しています。


建設資材の高騰による契約見直しに関するよくある質問
最後に、建設資材の高騰による契約見直しに関するよくある質問とその回答を2つ紹介します。
建設資材の高騰はいつまで続く?
建設資材の高騰がいつまで継続するかについて、明確に予測することは困難です。
資材価格は、国際情勢、為替、エネルギー価格、物流費、国内外の需給、労務費など複数の要因に左右されます。そのため、今後の価格変動に備え、工事請負契約を締結する際は、必要に応じて請負代金の額や工期の変更協議に関する条項を設けておくことが重要です。
そのため、今後のさらなる建設資材の高騰に備え、工事請負契約を締結する際は、必要に応じて請負代金の額や工期の変更協議ができる条項を設けることをおすすめします。
契約書にどのような内容を記載すればよいか分からずお困りの際は、アクセルサーブ法律事務所までご相談ください。
注文者や元請企業が資材高騰による請負代金の額の変更協議に応じてくれない場合の対処法は?
建設資材が高騰しているにもかかわらず、注文者や元請企業などの契約相手方が請負代金の額の変更協議に応じてくれない場合には、契約条項、見積条件、契約締結前のおそれ情報通知の有無、資材価格の上昇を示す根拠資料、工事への影響額などを整理したうえで、弁護士に相談してください。
お困りの際は、アクセルサーブ法律事務所までご相談ください。
まとめ
建設資材が高騰したことによる請負代金の額の見直しについて解説しました。
建設資材が高騰して請負代金の額の変更協議を求めたい場合には、まず契約書を確認しましょう。価格等の変動又は変更に基づく工事内容の変更、請負代金の額の変更、その額の算定方法に関する定めが明確であれば、協議を進めやすくなります。
建設業法の改正により、一定の要件を満たす場合には、注文者が請負代金の額の変更等に関する協議に誠実に応ずるよう努めなければならないとされたことも、受注者にとって協議を申し入れやすくする事情となります。
また、弁護士に相談することで、具体的な交渉の進め方を把握しやすくなるでしょう。必要に応じて、弁護士が交渉の準備を支援したり、事案の内容やご依頼の範囲に応じて交渉に同席・代理したりすることも可能です。
アクセルサーブ法律事務所は建設・不動産業界の法務に特化しており、契約締結後の請負代金の額改定交渉についても豊富なサポート実績を有しています。建設資材が高騰したことを受け、請負代金の額を見直したいとご希望の際には、アクセルサーブ法律事務所までお気軽にご相談ください。




