雨漏りする中古住宅を引き渡した売主の不動産会社の責任は?弁護士がわかりやすく解説

「雨漏りする中古住宅を売ったら、あとで買主から責任を問われないか」——そんな不安に応える記事です。この記事でわかることは、次の3点です。
- 売主の会社に責任が出るのは、どんなときか
- 責任を問われると、買主から何を求められるか
- トラブルを防ぐために、契約前にやっておくこと
先に答えを言います。雨漏りの事実・箇所・程度を買主に説明し、契約書などに書いて合意しておけば、その範囲は原則として後から責任を問われにくくなります。逆に、黙って引き渡すと大きなトラブルになりがちです。
当事務所(アクセルサーブ法律事務所)は不動産・建設の法務に特化し、中古住宅の売買トラブルの実績も豊富です。お困りの際はご相談ください。
▼この記事のポイント
- 雨漏りを説明し契約書などに明記して合意していれば、その範囲は原則として契約不適合責任を問われにくい。
- 記載がなく買主が知らなかった場合は、売主が修繕・減額・損害賠償・解除を求められることがある。
- 予防のカギは、雨漏りの内容を重要事項説明書・契約書・物件状況等報告書に具体的に書くこと。

弁護士 小澤 裕也
弁護士 小澤 裕也
アクセルサーブ法律事務所
代表弁護士
愛知県立一宮高校卒業
立教大学法学部卒業
明治大学法科大学院修了


雨漏りをする中古住宅を引き渡した不動産会社に責任はある?
責任が出るかどうかは、雨漏りを買主にきちんと伝え、契約書などに書いて合意していたかで決まります。伝えて合意していれば原則セーフ、伝えていなければ責任を問われることがあります。次の2つの場合に分けて説明します。
- 契約書等に雨漏りがすることを明記している場合
- 契約書等に雨漏りに関する記載がない場合
契約書等に雨漏りがすることを明記している場合
明記した範囲については、原則として売主の責任は問われにくくなります。
あなたの現場で言うと、買主が購入後の大規模リフォームを前提に、あえて直していない安い物件を探しているケースです。このとき、契約書に「雨漏りする物件であること」「雨漏りする箇所」を書いて契約を結ぶことがあります。
ポイントは、次の書類に雨漏りの内容を具体的に書き、買主が理解したうえで、その状態を前提に価格などを合意していることです。
- 契約書
- 重要事項説明書(=宅建業者が買主に、取引の大事な点を説明する書面)
- 物件状況等報告書(=売主が知っている物件の状態を買主に伝える書面)
書く内容は、雨漏りの「存在・箇所・程度・補修の要否」です。ここまで合意していれば、その明示した範囲は、原則として契約不適合(=契約どおりでない不具合)に当たらないと整理できる余地があります。
【注意】 売主が宅建業者・買主が宅建業者でない場合、契約不適合責任をまるごと免除・制限する特約は、宅建業法40条により無効となる可能性があります。「一切責任を負わない」という免責条項ではなく、雨漏りの中身を契約内容として明確に書くことが大切です。
なお、契約書に書いた箇所と違う場所で雨漏りしたときは、売主の責任が問われることがあります。例えば、契約書は「トイレだけ」なのに、実際はリビングや浴室でも雨漏りしていた場合です。
契約書等に雨漏りに関する記載がない場合
この場合は、売主である不動産会社の責任が問われることがあります。
中古でも、住宅である以上「雨漏りしないこと」は買主が当然に期待する性能です。契約書に雨漏りの記載がなく、買主が知らなかった場合、売主が責任を問われることがあります。どんな責任かは、次で説明します。
中古住宅の雨漏りについて契約書等に記載がない場合に追及される責任は?
契約書などに記載がないのに雨漏りする中古住宅を引き渡すと、売主の会社は「契約不適合責任」を問われることがあります。これは、引き渡したものが種類・品質・数量の点で契約に合わない場合に、売主が買主に負う責任です。かんたんに言えば「契約と違うものを渡したときの責任」です。
反対に、雨漏りを説明して合意できていれば、契約不適合責任は問われません。買主が納得しているなら、売主に落ち度はないからです。
記載がなく買主も理解していなかった場合は、次の事情によって責任を問われることがあります。
- 雨漏りの程度
- 築年数
- 売買価格
- 契約時の説明内容 など
【期限に注意】 雨漏りのような品質の契約不適合には、通知の期限があります。
(1)買主が不具合を知ったときから1年以内に売主へ通知しないと、原則として追完・代金減額・損害賠償・解除を求められなくなります。
(2)ただし、売主が引渡し時に不具合を知っていた、または重大な不注意で知らなかったときは、この1年の制限は適用されません。
中古住宅の雨漏りが契約不適合に該当する場合になされる可能性がある主な請求
雨漏りが契約不適合に当たる場合、買主から求められる主な請求は、次の4つです。
- 追完 = 直してもらうこと(かんたんに言えば「直せ」)
- 代金減額 = 不具合の程度に応じた値引き
- 損害賠償 = 生じた損害をお金で埋め合わせること
- 契約解除 = 契約を白紙に戻すこと
ただし、契約不適合があれば全部請求できるわけではありません。請求できる中身は、不適合の内容や契約書によって変わります。
雨漏りの修繕(追完)
1つ目は「直してほしい」という請求(追完)です。目的物の修理や、代わりの物・不足分の引渡しで、契約どおりの状態にするよう求めます(民法562条)。
雨漏りでは「代わりの物」や「不足分」は考えにくく、通常は雨漏りしない状態に直すことが中心です。ただし、買主に不相当な負担をかけないときは、売主は買主の求めた方法と違う方法で直すこともできます。
代金の減額
2つ目は「値引きしてほしい」という請求(代金減額)です。不具合の程度に応じて代金の減額を求めます(同563条)。例えば、雨漏りで建物の価値が契約で予定した価値を下回る場合です。
減額を求める順番は決まっています。
- まず「直して」と追完を求める
- 期限内に直されなければ、代金減額を求められる
ただし、直すことが不可能なときなどは、追完を飛ばして、いきなり減額を求められます。
損害賠償請求
3つ目は「損害を弁償してほしい」という請求(損害賠償)です。相手の債務不履行(=契約の義務を果たさないこと)などで生じた損害を、お金で埋め合わせるよう求めます(同415条)。
あなたの現場で言うと、引き渡した家に運び込んだ家具・家電・書籍が、雨漏りで汚れる場合です。この汚れた家具などの買い替え費用を求められることがあります。
雨漏りを直したあとでも、直す前の汚損については別に賠償が認められることがあります。売主に落ち度(帰責事由)があり、損害との因果関係が認められる場合です。だから損害賠償は、追完などと一緒に求められることがあります。
契約解除
4つ目は「契約を白紙に戻したい」という請求(契約解除)です。相手の債務不履行を理由に、契約を白紙に戻します。雨漏りがひどく、雨のたびに家中が水浸しになるような場合に主張されることがあります。
解除できるか・できないかは、次のとおりです。
- 原則:先に「直して」と催告(=期限を切って正式に求めること)し、直らなければ解除できる
- できない:期限が過ぎた時点の不履行が軽いとき/不履行が買主のせい(買主の責めに帰すべき事由)のとき
- 催告なしで解除できる:契約の全部の履行が不可能なときなど(民法542条)
例えば、雨漏りが極めて重大で、直しても契約の目的を達成できる見込みがないときは、催告なしの解除(無催告解除)が認められる余地があります。ただし実際に認められるかは、原因・補修の可否・費用・住めるか・契約目的への影響から個別に判断されます。
請求への対応は、不適合の有無や契約書の内容で変わります。判断に迷う場合は、アクセルサーブ法律事務所にご相談ください。


中古住宅の雨漏りに関して買主とトラブルとなった場合の対処法
買主とトラブルになったら、次の順で対応するのが基本です。
- 弁護士に相談をして契約書の内容を確認する
- 弁護士が代理で交渉する
- 調停で解決をはかる
- 訴訟で解決する
弁護士に相談をして契約書の内容を確認する
まず状況と買主の主張を確認し、早めに弁護士に相談します。弁護士は力を入れる分野が違うので、不動産・建設の法務に強い事務所を選ぶのがおすすめです。
相談時は、次の書類を用意しましょう。
- 売買契約書
- 重要事項説明書
- その他、その売買に関する書類
書面を一緒に確認すれば、雨漏りが契約不適合に当たるか、買主の主張が正当かを把握できます。その後の対応も検討できます。
弁護士が代理で交渉する
正式に依頼したら、対応方針を固めたうえで、弁護士が代理で相手方と交渉します。まとまれば内容を合意書にし、合意した内容(雨漏りの補修など)を実行します。
調停で解決をはかる
交渉で解決しなければ、事案に応じて民事調停・ADR・訴訟を検討します。調停(=調停委員が双方の意見を調整し合意を目指す手続き)が成立すると、合意内容を記した調停調書が作られます。
訴訟で解決する
交渉や調停で解決できないときや、早く裁判所の判断がほしいときは、訴訟を検討します。裁判所が事情を考慮し、法律に沿って判決を出します。
判決書が届いてから2週間以内なら、どちらの当事者も控訴(=第一審の判決に納得できない側が上級の裁判所に見直しを求める手続き)できます。期間内に控訴しなければ判決が確定し、双方が判決に拘束されます。
雨漏りする中古住宅を引き渡す際の注意点
トラブルを避けるカギは、次の2つです。引渡し前に必ず対策しましょう。
- 雨漏りすることを買主に丁寧に説明する
- 雨漏りの内容や範囲を契約書などに具体的に書き、その内容を前提に契約を結ぶ
雨漏りがすることを買主に丁寧に説明する
雨漏りの可能性を知りながら隠して引き渡すのは避けてください。隠すと契約不適合責任を追及されやすく、会社の信頼も損なうためです。やることは次のとおりです。
- 雨漏りする箇所を、不動産会社側で事前に確認する
- 契約を結ぶ前に、その箇所を買主に丁寧に説明する
説明はできるだけ現地で行うと、誤解が生じにくくなります。買主が後日「聞いていない」と言い出さないよう、具体的に説明しましょう。
雨漏りの内容や範囲を契約書等に具体的に記載し、その内容を前提として契約を締結する
説明は口頭だけで済ませず、必ず書面に具体的に残しましょう。口頭だけだと「聞いていない」というトラブルになりかねません。
さらに、宅建業法にも注意が必要です。雨漏りの事実や建物状況調査の結果は、宅建業法35条の重要事項説明の対象や、同法47条の「重要な事項」に当たることがあります。その場合、説明漏れや不実告知(=事実と違う説明)は宅建業法違反になり得ます。
書き残す先は、次のとおりです。
- 重要事項説明書(35条書面)の該当欄またはその他重要事項欄
- 売買契約書
- 物件状況等報告書(告知書)
これらに記載して説明し、書面を交付・保存しておくのが望ましいです。なお、37条書面(=契約成立後に交付する、契約内容を記した書面)に記載すべき事項に当たる場合は、そこへの記載も必要です。
中古住宅の雨漏りに関するトラブルはアクセルサーブ法律事務所へご相談ください
中古住宅の雨漏りでお困りの際は、アクセルサーブ法律事務所にご相談ください。当事務所の主な特長は、次の3つです。
- 不動産・建設業界に強い
- 実践的なアドバイスを得意としている
- トラブルを防ぐ「予防法務」に力を入れている
不動産・建設業界に強い
アクセルサーブ法律事務所は、不動産・建設業界の法務に特化しています。引き渡した中古住宅に問題があった場合の対応にも実績が豊富で、状況に応じた的確な助言ができます。
実践的なアドバイスを得意としている
法的な正しさだけを追うアドバイスでは、実行が難しく、相談を後悔しかねません。当事務所は業界の経営実態を理解し、法的な正しさに加えて「経営としての望ましさ」も重視した、実践的なアドバイスを提供します。
トラブルを防ぐ「予防法務」に力を入れている
トラブルは、最終的に解決できても、時間・労力・精神的な負担がかかります。起きること自体が不利益です。
そこで当事務所は、発生後の対応だけでなく、トラブルを未然に防ぐ「予防法務」にも力を入れています。特に雨漏りのような問題がある物件を引き渡す際は、契約書の書き方など入念な対策が必要です。契約前にご相談ください。
中古住宅の雨漏りに関するよくある質問
最後に、よくある質問を2つ紹介します。
中古住宅の雨漏りでトラブルになった場合の相談先は?
建設・不動産業界の法務に強い弁護士に相談しましょう。実績豊富な弁護士なら、状況に応じた解決策を提案できます。お困りの際は、アクセルサーブ法律事務所にお早めにご相談ください。
中古住宅の雨漏りで売主が責任を追及されないための対策は?
雨漏りの有無・箇所・程度・補修履歴・今後の補修の要否を買主に説明し、その内容を重要事項説明書・売買契約書・物件状況等報告書に具体的に書くことが有効です。隠さず、説明したうえで契約を結びましょう。
まとめ
雨漏りする中古住宅を売る際の注意点と、引き渡した場合の売主の責任を解説しました。要点は次のとおりです。
- 売る前に、雨漏りすることや箇所を買主に丁寧に説明する
- 重要事項説明書や契約書にも、雨漏りする旨を具体的に書く
- 内容・範囲を買主が理解し、その状態を前提に条件を合意していれば、原則としてその明示した範囲は契約不適合に当たらないと整理できる余地がある
ただし、次は別途責任が問題になり得ます。
- 説明した範囲外の雨漏り
- 売主が知りながら告げなかった事実
- 宅建業法40条に反する免責特約
雨漏りする中古住宅の売却でトラブルを避けたい方、すでにお困りの方は、アクセルサーブ法律事務所にお気軽にご相談ください。契約前の予防策づくりから、交渉・調停・訴訟対応まで対応します。



