建築工事で発生したトラブルの対処法は?解決の流れと予防策を弁護士がわかりやすく解説

追加工事の費用を払ってもらえない、工期の遅れを責められる、仕上がりに文句をつけられる。こうした建築工事のトラブルを抱える建設会社・工務店の社長、役員の方へ。
この記事でわかることは3つです。
- ①建築工事で起きやすいトラブル
- ②相談できる窓口と使い分け
- ③解決の流れと予防策
先に結論をいえば、建築工事のトラブルの多くは、契約書の作り込みと早めの相談で予防・早期解決ができます。
当事務所(アクセルサーブ法律事務所)は建設業界の法務を重点的に取り扱っており、建築工事に関するトラブルについて豊富な解決実績を有しています。
▼この記事のポイント
- 建築工事のトラブルで多いのは、追加工事・工事代金の未払い・工事の遅延・契約不適合の4つ。
- 相談先は4つあるが、自社の味方として交渉や手続きを代理できるのは原則として弁護士だけ。
- 解決の流れは、資料集め→弁護士に相談→交渉→あっせん・調停・仲裁→訴訟の順。
- 予防の柱は、契約書で工事範囲や仕様などを明確にすることと、施主とこまめに連絡をとること。

弁護士 小澤 裕也
弁護士 小澤 裕也
アクセルサーブ法律事務所
代表弁護士
愛知県立一宮高校卒業
立教大学法学部卒業
明治大学法科大学院修了


建築工事に関するよくあるトラブル
建築工事で生じやすいトラブルは、主に次の4つです。
- 追加工事に関するトラブル
- 工事代金の未払いに関するトラブル
- 工事の遅延に関するトラブル
- 契約不適合に関するトラブル
追加工事に関するトラブル
追加工事とは、工事請負契約を結んだ後に追加で発生する工事です。きっかけは2通りあります。
- 施主の要望で追加になる場合
- 工事を進める中で、現場の状況から必要になる場合(例:掘削したら地中から埋設物が出てきて、撤去工事が要る)
その追加工事が当初の契約範囲に入っておらず、発注者の指示や合意、現場状況に照らした必要性などから追加工事の合意が認められる場合には、追加報酬を請求できる可能性があります。
問題は、追加が決まった時点で契約書を取り交わしていないケースです。工事内容や費用負担を書面にしていないと、後から支払いを拒まれかねません。契約書には電子契約を含みます(以下、この記事において同じ)。
工事代金の未払いに関するトラブル
契約上の支払時期が来たのに、工事代金が支払われないというトラブルです。民法上、請負報酬は、仕事の目的物の引渡しが必要な場合には原則として引渡しと同時に支払うものとされています。ただし、契約で支払時期を別に定めることも一般的です。
下請企業への代金や従業員の給与など「出ていくお金」も大きい。予定した日に入金がなければ、自社の資金繰りが行き詰まります。
未払いの理由は、単純な支払い遅れのこともあれば、発注者が「工事が仕様と違う」などと主張して支払いを拒んでくることもあります。
工事の遅延に関するトラブル
工事の遅延は、遅れた原因が誰にあるかで結論が変わります。
- 施工会社である自社の責任で遅れた場合:契約内容や損害の発生状況に応じて、遅延損害金(=引渡しや支払いが遅れた場合に、契約又は法律に基づいて発生する損害金)の支払いや損害賠償責任が生じる可能性がある
- 自然災害など契約で定める不可抗力事由、施工会社の責めに帰することができない事由、発注者側の事情で遅れた場合:契約内容や具体的な事情によっては、施工会社の損害賠償責任が否定されることがある
そこで、遅れの原因が施工会社の責めに帰すべき事由なのか、不可抗力なのかで意見が食い違い、トラブルになるケースがあります。
契約不適合に関するトラブル
契約不適合とは、仕事の目的物の種類・品質・数量などが契約内容に適合しない状態(=引き渡した工事が契約どおりでないこと)をいいます。請負契約では、次の時点の状態を基準に、民法の契約不適合責任に関する規定や請負に関する規定が問題となります。
- 目的物の引渡しが必要な場合:引渡時
- 引渡しが不要な場合:仕事の終了時
あなたの現場で言うと、仕様書ではリビングの壁紙を白と指定されているのにグレーで施工した、仕様書どおりの位置にコンセントの差込口がない、といったケースです。
契約書に書いていない性能も要注意です。「雨漏りがする」などの施工不良は、「雨漏りがしない住宅を建築する」とあえて記載がなくても、契約不適合に当たる可能性があります。特に一定の新築住宅では、住宅の構造耐力上主要な部分や、雨水の浸入を防止する部分について、住宅の品質確保の促進等に関する法律上の瑕疵担保責任の特則が問題となる場合があります。
契約不適合があると、要件を満たす限り、注文者は次の4つを主張してくることが想定されます。
- 履行の追完請求(=直せと求めること)
- 報酬減額請求
- 損害賠償請求
- 契約解除
ただし、相手の要求が不適合の中身に比べて過大なこともあり、落としどころを探るのが難しくなります。
相手の言い分を、そのまま呑む必要はありません。アクセルサーブ法律事務所は建築工事のトラブルについて豊富な解決実績を有しています。お困りの際は、お気軽にご相談ください。


建築工事のトラブルで相談できる主な窓口とそれぞれの役割
建築工事のトラブルの相談先は、主に次の4つです。役割が違うので、目的に合わせて選びます。
- 建設業取引適正化センター
- 建設工事紛争審査会
- 建設業フォローアップ相談ダイヤル
- 弁護士
建設業取引適正化センター
建設業取引適正化センターは、建設工事の請負契約に関するトラブルの相談窓口です。国からの委託を受け、公益財団法人建設業適正取引推進機構が開設しています。
できることは限られます。紛争の解決や以後のトラブル防止に向けたアドバイス、法令を所管する行政機関(国土交通省・中小企業庁等)の紹介などに留まり、調停やあっせんなどの紛争解決手続きはしません。
建設工事紛争審査会
建設工事紛争審査会は、建設工事の請負契約に関する紛争(つまり、近隣苦情、不法行為のみを根拠とする紛争、労務紛争、売買契約紛争などは、当然に対象となるわけではありません。)について、当事者の申出に基づいてあっせん・調停・仲裁などのADR(=裁判外紛争解決手続。Alternative Dispute Resolution)を行う公的機関です。特に仲裁は、当事者が仲裁合意をしている場合に利用でき、仲裁判断には確定判決と同様の効力が認められます(ただし、仲裁判断に基づいて強制執行をするには、仲裁法上の執行決定を得る必要があります。)。
ただし、相談者の味方として相手方に請求をしてくれる機関ではなく、中立な立場です。自社だけでADRに臨むのが不安なら、弁護士のサポートを受けるとよいでしょう。
建設業フォローアップ相談ダイヤル
建設業フォローアップ相談ダイヤルは、国土交通省が設けている建設業の相談・情報提供の窓口です。元請事業者、下請事業者、技能労働者など、さまざまな立場からの相談を受け付けています。
呼びかけられているのは、「受発注者間や元請下請間での資機材価格の高騰などによる価格転嫁の実態」など一定の内容についての情報提供です。相談内容によっては、国土交通省等による実態把握や、関係者への指導・助言等につながる場合があります。
弁護士
自社の「味方」がほしいなら、弁護士です。他の3つとは役割が違います。
- 建設工事紛争審査会:中立的な立場で、あっせん・調停・仲裁を行う機関
- 建設業取引適正化センター、建設業フォローアップ相談ダイヤル:相談・助言・情報提供等を行う窓口
いずれも、相談者の代理人として相手方と交渉したり、損害賠償請求などの法的手続を代理したりはしません。自社の味方としてアドバイスがほしい、相手方と交渉してほしい、手続きを代理してほしい。こうした場合の相談先は、弁護士です。
アクセルサーブ法律事務所は建設業界の法務に特化しています。
建築工事に関してトラブルが発生した場合の一般的な対応の流れ
トラブルが起きたときの一般的な流れは、次の5ステップです。
- トラブルに関する資料を集める
- 弁護士に相談する
- 交渉で解決を図る
- 建設工事紛争審査会のあっせん・調停・仲裁や、民事調停で解決を図る
- 訴訟で解決を図る
トラブルに関する資料を集める
はじめに、その工事の契約書や仕様書、工事に関連するメールやFAXなどを集めます。
弁護士に相談する
続いて、弁護士に相談します。相談先には、建設業界の法務に強い弁護士を選ぶとよいでしょう。
交渉で解決を図る
弁護士に依頼していれば、弁護士が代理して相手方と交渉するのが一般的です。交渉がまとまったら、合意内容を記した書面を取り交わします。
建設工事紛争審査会のあっせん・調停・仲裁や、民事調停で解決を図る
交渉で解決できない場合は、建設工事紛争審査会のあっせん・調停・仲裁や、裁判所の民事調停などが考えられます。手続きの性格は2つに分かれます。
- あっせん・調停・民事調停:基本的に、当事者間の合意による解決を目指す手続
- 仲裁:当事者間に仲裁合意がある場合に利用でき、仲裁判断によって紛争の解決を図る手続
訴訟で解決を図る
あっせんや調停を経ても解決しない場合や、これらでは解決の見込みがない場合は、訴訟に進みます。訴訟では、当事者の主張・立証を踏まえ、裁判所が法令に基づいて判決をします。
【期限に注意】 第一審判決に不服がある場合、当事者は、原則として電子判決書又は民事訴訟法254条2項の電子調書の送達を受けた日の翌日から数えて2週間の不変期間内に控訴(=上級の裁判所に取消し・変更を求める手続き)を提起できます。
この期間内に適法な控訴がなければ判決は確定し、判決内容に応じて既判力や執行力などが生じます。
建築工事のトラブルに備えて講じたい対策
主な対策は次の3つです。
- 契約書で工事範囲、仕様、変更手続、請負代金、支払時期、工期、遅延時の責任、契約不適合時の対応を明確にする
- 施主とこまめに連絡をとる
- 相談できる弁護士を見つけておく
契約書で工事範囲、仕様、変更手続、請負代金、支払時期、工期、遅延時の責任、契約不適合時の対応を明確にする
契約書で必要事項を明確にすることが、最大の予防策です。効き目が大きいのは、次の3点です。
- 不可抗力の定義を決めておく。契約書で定義しておけば、遅延が施工会社の責任で生じたのか不可抗力で生じたのかの判断が容易になる。
- 遅延損害金の算定方法を決めておく。自社が負担する場面でも、契約書の定めに従って算定すればよく、早期解決につながる。
- 追加工事が発生したら、その都度あらためて契約書を取り交わす。後から追加工事の報酬の支払いを拒まれても、解決が容易になる。
このように、契約書を作り込むことで、トラブルを予防できたり、早期に解決できたりする可能性があります。
施主とこまめに連絡をとる
建築工事のトラブルは、施主とのコミュニケーション不足から生じることもあります。工事の進捗を報告し、追加工事が必要になったら早めに説明して理解を得る。これだけでもトラブルを防げます。
相談できる弁護士を見つけておく
建築工事のトラブルの「種」が生じたら、その時点で弁護士に相談することをおすすめします。早い段階で相談すれば、トラブルが大きくなる前に円満に解決できる可能性があるためです。
アクセルサーブ法律事務所は、建設業界に携わる企業様を対象に顧問契約もお受けしています。日頃から気軽に相談できる、業界事情にくわしい弁護士をお探しの際は、アクセルサーブ法律事務所までお気軽にお問い合わせください。
建築工事のトラブル解決はアクセルサーブ法律事務所にご相談ください
建築工事のトラブル解決は、アクセルサーブ法律事務所にお任せください。当事務所の主な特徴は3つです。
- 建設・不動産業界の法務に強い
- トラブルを未然に防ぐ「予防法務」に力を入れている
- 建設業界の経営実態を踏まえた実践的な解決策の提案を得意としている
建設・不動産業界の法務に強い
アクセルサーブ法律事務所は、建設・不動産業界の法務を重点的に取り扱っており、建築工事のトラブルについても対応実績があります。トラブルの内容や状況を丁寧に確認したうえで、事案に応じた解決策をご提案します。
トラブルを未然に防ぐ「予防法務」に力を入れている
アクセルサーブ法律事務所は「助け合い、称え合い、共に成長し、喜び合う―それが当たり前の世界を創る」ことを最終的なゴールに設定しており、トラブルを未然に防ぐ「予防法務」に力を入れています。
建設業界の経営実態を踏まえた実践的な解決策の提案を得意としている
アクセルサーブ法律事務所は、建設業界の経営実態を熟知しています。これを踏まえ、法的な正しさだけを追求するのではなく、経営的な望ましさも踏まえたより実践的な解決策を提案しています。


建築工事のトラブルに関するよくある質問
最後に、よくある質問を2つ紹介します。
建築工事のトラブルを弁護士に相談する際にかかる費用は?
建築工事のトラブルを弁護士に相談する際の費用は、事務所や相談内容によって異なります。法律相談料は30分又は1時間単位で設定されることが多いものの、建築工事の相談は専門性が高く、資料確認や技術的検討が必要な場合もあります。事前に相談料や見積方法を確認しておくとよいでしょう。
その後の具体的な対応を依頼する場合は、トラブルの内容などに応じて別途見積もりが提示されます。まずは初回相談で、対応の方向性を定めるとよいでしょう。
建築工事の請負契約は、契約書がなくても成立する?
建築工事の請負契約は、契約書がなくても、工事内容や報酬について当事者間の合意があれば、民法上は成立し得ます。もっとも、書面化の義務は別にあります。
- 建設業法では、建設工事の請負契約の締結に際し、契約内容に関する一定事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付することが義務付けられている。
- 契約内容を変更する場合も、変更内容を書面にして相互に交付する必要がある。
- 所定の要件を満たす場合には、電磁的方法による契約締結もできる。
契約書がなければ、それ自体がトラブルの原因になり、解決も難しくなります。契約を結ぶ際は、契約書を取り交わすべきでしょう。
まとめ
建築工事で生じやすいトラブルには、追加工事に関するもの、工事代金の未払いに関するもの、工事の遅延に関するものなどがあります。
避けるためにやることは2つです。発注者・注文者とこまめに連絡をとること。そして契約書に、工事の範囲、仕様、変更手続、請負代金、支払時期、工期、遅延時の責任、契約不適合時の対応を明確にしておくことです。
アクセルサーブ法律事務所は建設業界の法務に特化しており、トラブルを未然に防ぐ「予防法務」に力を入れています。建築工事がトラブルに発展してお困りの際や、建築工事についてトラブルを避ける対策を講じたいとお考えの際などには、アクセルサーブ法律事務所までお気軽にご相談ください。




