不動産仲介で起きやすい「仲介手数料トラブル」とは?不動産会社向けに弁護士が解説

不動産仲介手数料は、不動産会社にとって重要な収入源の1つです。しかし、その仲介手数料に関してトラブルに発展することがあります。
では、仲介手数料に関して生じやすいトラブルには、どのようなものがあるのでしょうか?また、仲介手数料に関するトラブルを避けるには、どのような対策を講じればよいのでしょうか?
今回は、不動産仲介手数料の基本や不動産の仲介手数料にまつわるトラブルの概要、仲介手数料のトラブルを避ける対策、トラブル発生時の対処法などについて弁護士がくわしく解説します。
なお、当事務所(アクセルサーブ法律事務所)は不動産・建設業界の法務に特化しており、不動産仲介手数料のトラブルについても豊富な解決実績を有しています。仲介手数料のトラブルについても相談できる弁護士をお探しの際は、アクセルサーブ法律事務所までお気軽にお問い合わせください。
不動産仲介手数料の基本
はじめに、不動産仲介手数料の基本について解説します。
仲介手数料の上限額は法令で定められている
不動産の仲介手数料は、宅建業法とその委任を受けた告示(「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」)で上限が定められています。
不動産会社と顧客が合意したとしても、この上限を超える仲介手数料を受け取ることはできません。ただし、決まっているのは「上限」であるため、これより低い額とすることは可能です。
ここでは、売買と賃貸それぞれの仲介手数料の上限を解説します。
不動産売買の仲介手数料
不動産売買の仲介で依頼者の一方(売主または買主)から受領できる仲介手数料(消費税10%の場合の税込)の上限は、物件価格に応じてそれぞれ次のとおりです。
| 物件価格 | 仲介手数料の上限 |
|---|---|
| 200万円以下部分 | 物件価格×5.5% |
| 200万円超~400万円以下部分 | 物件価格×4.4% |
| 400万円超部分 | 物件価格×3.3% |
なお、物件価格が400万円超である場合、「200万円以下部分」と「200万円超~400万円以下部分」、「400万円超部分」をそれぞれ計算するのは大変でしょう。物件価格が400万円超であれば、次の式で仲介手数料を算定することも可能です(計算結果は、同じとなります)。
- 仲介手数料の上限=物件価格×3%+6万円+消費税
たとえば、売買を仲介する不動産の物件価格が3,000万円である場合、仲介手数料の上限額は105.6万円(=3,000万円×3%+ 6万円=96万円、税込で105.6万円)となります。
ただし、物件価格が800万円以下で「低廉な空家等」に該当する物件の売買仲介の場合、仲介手数料の上限は例外的に33万円となります。
「低廉な空家等」はそもそも買い手が見つかりにくく、不動産会社の手間も大きくなりやすいでしょう。そうであるにもかかわらず、受け取れる仲介手数料の額が安ければ、買い手探しに真摯に取り組んでくれる不動産会社を見つけづらくなるためです。
不動産賃貸の仲介手数料
不動産賃貸の仲介で依頼者の双方(貸主と借主)から受領できる仲介手数料の合計額の上限(税込)は、「1か月分の賃料×1.1倍」とされています。
たとえば、1か月あたりの賃料が10万円である物件の仲介では、貸主と借主の双方から受け取れる仲介手数料の合計額は11万円(=10万円×1.1=11万円)ということです。
ただし、一定の要件を満たす「長期の空家等(現に長期間使用されておらず、または将来にわたり使用の見込みがない宅地建物)」に該当する場合、仲介手数料の上限が例外的に「1か月分の賃料×2.2倍」へと引き上げられることがあります。
賃貸の仲介手数料の負担割合は、両者の合意で変更できる
不動産「売買」の仲介手数料は「一方から」受け取れる額が定められています。売買を仲介する不動産の物件価格が3,000万円である場合、買主から受け取れる仲介手数料の上限額が105.6万円、売主から受け取れる仲介手数料の額も105.6万円(計211.2万円)であるということです。
この場合、たとえば売主からは仲介手数料を受け取らず、買主からまとめて211.2万円を受け取るようなことはできません。仮に売主から仲介手数料を受け取らなかったり売主から受け取る仲介手数料の額が上限である105.6万円より少なかったりしたとしても、買主から上限である105.6万円を超えて仲介手数料を受け取れる理由にはならないということです。
一方で、「賃貸」の仲介手数料は「貸主と借主の両方から受け取れる仲介手数料の合計額」が「1か月分の賃料×1.1倍」とされています。そのため、この全額を一方だけから受領してもかまいません。
たとえば、1か月あたりの賃料が10万円である物件の賃貸仲介にあたって貸主からは1円も受け取らず、借主から11万円を受け取ることもできるということです。
ただし、例外的に「居住用建物の賃貸」の場合は、依頼者の「一方(貸主または借主)」から受領できる仲介手数料の上限額が「1か月分の賃料×0.55倍」とされます。賃料10万円の物件であれば、貸主から5.5万円、借主から5.5万円がそれぞれ仲介手数料の上限になるということです。
しかし、この場合であっても依頼者の承諾を得ているのであれば、借主など一方だけから「1か月分の賃料×0.55倍」の2倍(つまり、「1か月分の賃料×1.1倍」)までの仲介手数料を受け取ることも可能です。
仲介手数料に関するよくあるトラブル
不動産仲介手数料に関するトラブルには、どのようなものがあるのでしょうか?ここでは、仲介手数料に関するよくあるトラブルを3つ解説します。
- 仲介手数料が法令の上限を超えているとして支払を拒まれる
- 仲介手数料が高額であるとして契約後に支払いを拒まれる
- 買主都合で契約が解除された仲介について、仲介手数料の支払を拒否される
仲介手数料が法令の上限を超えているとして支払を拒まれる
1つ目は、仲介手数料が法令の上限を超えているとして支払を拒まれるトラブルです。
たとえば、不動産会社側が「調査費用」や「コンサルティング報酬」など別の名目で法令の上限を超えた仲介手数料の支払いを求める場合、このようなトラブルに発展する可能性があります。
また、賃貸の仲介において借主側に「1か月分の賃料×1.1倍」の仲介手数料の負担を求めたところ、自身が負担すべき上限は「1か月分の賃料×0.55倍」であるはずだとして支払を拒まれることもあるでしょう。
仲介手数料が高額であるとして契約後に支払いを拒まれる
2つ目は、仲介手数料が高額であるとして契約後に支払いを拒まれるトラブルです。
売買の仲介では、物件価格が高額である場合、仲介手数料も高額となる傾向にあります。たとえば、物件価格が1億円である場合に売主と買主それぞれから受け取れる仲介手数料の上限額は、336.6万円にのぼります。
仲介手数料の計算方法を事前に示していたとしても、いざ支払いの段階になってから支払いを拒まれたり減額を求められたりする場合があります。
買主都合で契約が解除された仲介について、仲介手数料の支払を拒否される
3つ目は、買主都合で契約が解除された仲介について、仲介手数料の支払いを拒否されるトラブルです。
不動産売買の仲介の依頼を受けて相手方を見つけて契約にまで至ったものの、その後何らかの事情により売買契約が解除されることがあります。たとえば、買主が「もっとよい物件を見つけた」ことを理由として、手付金を放棄して契約を解除する場合などが挙げられるでしょう。
このような場合、不動産会社としては契約成立にまでこぎつけた以上、媒介契約に特別の定めがあったり、不動産会社側の落ち度があったりするなどの事情があれば別ですが、そうでなければ、契約後に解除をした買主からも仲介手数料を請求できるのが原則です。しかし、依頼者としては「契約を解除した以上、仲介手数料も支払いたくない」と考えることが多く、これがもとでトラブルに発展することがあります。
仲介手数料に関するトラブルを避ける対策
仲介手数料に関するトラブルを避けるには、どのような対策を講じればよいのでしょうか?ここでは、仲介手数料にまつわるトラブルの予防策を解説します。
- 違法な仲介手数料を請求しない
- 仲介手数料の額や計算方法について事前に丁寧に説明する
- 借主が仲介手数料を全額負担する特約がある場合は、事前に丁寧に説明する
- 中途解約時の仲介手数料の取り扱いについて契約書で定めたうえ、丁寧に説明する
- 契約書作成時に弁護士からレビューを受ける
- 不動産業界に特化した弁護士と顧問契約を締結しておく
違法な仲介手数料を請求しない
1つ目は、違法な仲介手数料を請求しないことです。
特に手間のかかる案件では、仲介手数料を上乗せしたいと考えることもあるでしょう。しかし、「コンサルティング報酬」など他の名目であるからといって上限額を超えた仲介手数料の請求が適法となるわけではありません。
このような行為をすれば不動産会社の信用が失墜して顧客を失うおそれも生じます。
なお、空き家活用や相続対策などコンサルティング業務を提供しているのであれば、仲介手数料とは別にコンサルティング報酬を受け取っても違法ではありません。ただし、「脱法的な仲介手数料」であると誤解されないよう、コンサルティング報酬を受け取る場合は別途コンサルティング契約を締結して何の対価であるかを明確にしておきましょう。
参照元:不動産取引に係る新たなサービス形態について(国土交通省 不動産・建設経済局
仲介手数料の額や計算方法について事前に丁寧に説明する
2つ目は、仲介手数料の額や計算方法について事前に丁寧に説明することです。仲介手数料については計算方法を示すだけではなく、「たとえば3,000万円で売れた場合は〇円」など具体的な金額を用いて説明することをおすすめします。
仲介契約の締結時に想定される仲介手数料の額を明示しておくことで、後から「高過ぎる」などとしてトラブルになる事態を避けやすくなります。
借主が仲介手数料を全額負担する特約がある場合は、事前に丁寧に説明する
3つ目は、借主が仲介手数料を全額負担する特約がある場合は、事前に丁寧に説明することです。
先ほど解説したように、不動産賃貸の仲介では貸主または借主のどちらか(通常は、借主)だけに「1か月分の賃料×1.1倍」の仲介手数料を請求することも可能です。一方だけから仲介手数料を受領する場合、事前にその旨を丁寧に説明しておきましょう。
なお、居住用建物の賃貸仲介で借主だけに仲介手数料を負担させるのであれば、借主から承諾を得なければなりません。
中途解約時の仲介手数料の取り扱いについて契約書で定めたうえ、丁寧に説明する
4つ目は、中途解約時の仲介手数料の取り扱いについて契約書で定めたうえで、口頭でも丁寧に説明することです。
「最終的に売買に至らなかったのであれば、仲介手数料もかからない」という誤解は少なくありません。そのため、たとえば「契約締結後に手付解除がされても仲介手数料は全額支払う必要がある」など、具体的なケース別に仲介手数料の取り扱いを記載して説明しておくとよいでしょう。
契約書作成時に弁護士からレビューを受ける
5つ目は、契約書作成時に弁護士からレビューを受けることです。
仲介手数料に関する契約条項について、事前に弁護士からレビューを受けるとよいでしょう。弁護士に確認してもらうことで、トラブル防止のために設けた方がよい条項などについてアドバイスを受けることが可能となります。
契約書のレビューを依頼できる弁護士をお探しの不動産会社様は、アクセルサーブ法律事務所までご相談ください。当事務所は予防法務に力を入れており、トラブルを防ぐ観点からの契約書レビューを得意としています。
不動産業界に特化した弁護士と顧問契約を締結しておく
6つ目は、不動産業界に特化した弁護士と顧問契約を締結しておくことです。
弁護士と顧問契約を締結することで、トラブルの芽が生じた段階で弁護士に気軽に相談することが可能となります。これにより、トラブルが大きくなる前に対処しやすくなるでしょう。
アクセルサーブ法律事務所は、不動産会社様向けの顧問契約プランを展開しています。不動産法務に強い顧問弁護士をお探しの際は、アクセルサーブ法律事務所までお気軽にお問い合わせください。
仲介手数料でトラブルとなった場合の対処法
仲介手数料に関してトラブルになってしまったら、どのように対処すればよいのでしょうか?ここでは、一般的な対応の流れを解説します。
- 自社が設定している仲介手数料が違法でないか確認する
- 契約書の規定を確認する
- 弁護士に相談する
- 相手方に説明・交渉をする
自社が設定している仲介手数料が違法でないか確認する
仲介手数料に関してトラブルが生じたら、まずは自社が設定している仲介手数料が違法でないことを確認します。
仮に違法であれば自社側に問題があったことを伝え、適法な範囲での請求へと変更しましょう。
契約書の規定を確認する
続いて、契約書の規定を確認します。トラブルとなっている事項について契約書に定めがあれば、原則としてその定めに従って対処することとなります。
弁護士に相談する
当事者間での解決が難しい場合は、弁護士に相談をします。弁護士に相談することで、具体的な状況に応じた解決策を把握しやすくなるでしょう。
仲介手数料のトラブルについて相談できる弁護士をお探しの際は、アクセルサーブ法律事務所までお気軽にご相談ください。
相手方に説明・交渉をする
弁護士からのアドバイスや契約書の表記を踏まえ、相手方への説明や交渉を行います。状況に応じて、弁護士が相手方とのやり取りを代理することも可能です。
この段階で解決に至らない場合には、調停や訴訟で解決をはかります。
調停とは、裁判所の調停委員が当事者双方から主張を聞き、意見の調整をはかる手続きです。一方で、訴訟では諸般の事情を考慮のうえ、法令や契約書の規定に照らして裁判所が結論を下します。
仲介手数料トラブルに関するよくある質問
続いて、仲介手数料のトラブルに関するよくある質問とその回答を2つ紹介します。
仲介手数料のトラブルは、誰に相談すればよい?
不動産の仲介手数料についてトラブルが生じたら、不動産法務に強い弁護士に相談することをおすすめします。
仲介手数料のトラブルについて相談できる弁護士をお探しの際は、アクセルサーブ法律事務所までご相談ください。
仲介手数料とは別に、「コンサルティング報酬」を受け取ってもよい?
不動産仲介に関して、仲介手数料の上限額を超えて別途「コンサルティング報酬」などを請求することはできません。ただし、不動産の所有者等に対する助言や総合調整など仲介とは別で実際に不動産コンサルティングサービスを提供しているのであれば、その対価としてコンサルティング報酬を受け取ることは可能です。
空き家を含む不動産活用の課題整理や相続に係る相談などについて不動産会社が担うべき役割は大きい一方で、これらのコンサルティングについて報酬が得られていない不動産会社は少なくありません。そこで、「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」(通達)が改正され、不動産コンサルティング業務について仲介手数料と別途報酬を受けられることが明記されるに至っています。
参照元:不動産取引に係る新たなサービス形態について(国土交通省 不動産・建設経済局
仲介手数料トラブルでお困りの際はアクセルサーブ法律事務所までご相談ください
仲介手数料トラブルでお困りの際は、アクセルサーブ法律事務所までご相談ください。最後に、当事務所の主な特長を3つ紹介します。
- 不動産・建設法務に特化している
- 「予防法務」に力を入れている
- 経営者目線での実践的なアドバイスを得意としている
不動産・建設法務に特化している
アクセルサーブ法律事務所は、不動産・建設業界の法務に特化しています。業界において生じやすいトラブルも熟知しているため、より的確な解決策を提案できます。
「予防法務」に力を入れている
アクセルサーブ法律事務所は、トラブル発生後の対応のみならず、トラブルを未然に防ぐ「予防法務」にも力を入れています。トラブル予防の観点から契約書のレビューや助言などを行うため、トラブルが起きる可能性を引き下げられます。
経営者目線での実践的なアドバイスを得意としている
弁護士の相談をしても法的な正しさだけを追及されてしまうと、机上の空論となりかねません。アクセルサーブ法律事務所は、経営者目線でのより実践的なアドバイスを得意としています。
まとめ
仲介手数料のトラブルの概要や仲介手数料のトラブルを避ける対策などを解説しました。
仲介手数料の支払いを拒まれたり契約後に減額を求められたりして、トラブルに発展することがあります。違法な仲介手数料を請求しないことはもちろん、仲介手数料の額や売買契約成立後の仲介手数料の取り扱いを事前に説明することで、トラブルを避けることにつながるでしょう。
仲介手数料のトラブルを避ける対策を講じたい場合や仲介手数料についてトラブルとなってお困りの際などには、弁護士に相談することをおすすめします。
アクセルサーブ法律事務所は不動産・建設業界の法務に特化しており、豊富なサポート実績を有しています。仲介手数料のトラブルについても相談できる弁護士をお探しの際は、アクセルサーブ法律事務所までお気軽にご相談ください。


