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住宅瑕疵担保履行法とは?義務の内容を弁護士がわかりやすく解説

住宅瑕疵担保履行法とは?義務の内容を弁護士がわかりやすく解説

新築住宅を供給する建設会社や不動産会社などの住宅事業者は、「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」(この記事では、以下「住宅瑕疵担保履行法」といいます。)について正しく理解しておかなければなりません。

では、住宅瑕疵担保履行法とはどのような法律なのでしょうか?また、住宅事業者は住宅瑕疵担保履行法の定めにより、具体的にどのような対応をする必要があるのでしょうか?

今回は、住宅瑕疵担保履行法の概要や住宅瑕疵担保履行法による義務の内容、住宅瑕疵担保履行法の対象となる建物・対象とならない建物などについて弁護士がくわしく解説します。

なお、当事務所(アクセルサーブ法律事務所)は建設・不動産業界の法務に特化しており、住宅瑕疵担保履行法に関するアドバイスやサポートも提供しています。住宅瑕疵担保履行法について相談できる弁護士をお探しの際は、アクセルサーブ法律事務所までお気軽にお問い合わせください。

住宅瑕疵担保履行法の基本

はじめに、住宅瑕疵担保履行法の基本と、その前提として知っておくべき「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(この記事では、以下「品確法」といいます。)の概要を解説します。

品確法とは?

品確法は、住宅の品質確保の促進や住宅購入者等の利益の保護を目的に、2000年に施行されました。ここでは、品確法の意義について順を追って解説します。

民法の原則

前提として、住宅の請負契約や売買契約には、契約の基本法である「民法」が適用されます。仮に引き渡した住宅について、種類、品質、数量に関して契約の内容に適合しない点(「契約不適合」といいます)があれば、民法の契約不適合責任の規定に基づいて補修や代金の減額、損害賠償請求、契約解除などの責任を負います。

民法において住宅を建築した建設会社や住宅を販売した不動産会社がこの契約不適合責任を負う期間は、原則として「発注者(購入者)が契約不適合を知ってから1年間」です(民法566条、637条)。発注者(購入者)は、この期間内に不具合を建設会社や不動産会社に通知しなければなりません。

ただし、不適合に気づくのが遅かった場合、いつまでも契約不適合責任を追及できるわけではありません。契約不適合責任の消滅時効は、原則として権利を行使できる時から10年、あるいは、不適合を知った時から5年のいずれか早い方で完成します(同166条1項)。実務上は多くの事案で引渡時に権利行使が可能となるため引渡しから10年で足切りとなるのが一般的です。引渡時に権利行使が可能といえる事案であれば、契約不適合責任は、たとえ発注者(購入者)が不具合に気づかないままであっても、引渡しから10年が経過すると契約不適合責任の追及はできなくなります。

契約自由の原則

民法の定めは、契約書の規定によって変更できるのが原則です。これを、「契約自由の原則」といいます。

たとえば、「発注者(購入者)が不適合を知ってから(民法上の1年ではなく)6か月以内に通知しなければ契約不適合を追及できない」と定めることもできます。また、「引渡しから(民法上の10年ではなく)5年が経過すると契約不適合責任を追及できなくなる」と定めることもできるでしょう。

ただし、相手方が一般消費者である場合は消費者契約法も適用されるため、原則として消費者側に不利となる定めはできません(消費者契約法8条1項)。

品確法の瑕疵担保責任

品確法では、新築住宅の請負契約や売買契約における「瑕疵(かし)担保責任」について、特別の定めを設けています。

なお、この瑕疵担保責任は、民法の「契約不適合責任」と同じ意味です。以前は民法でも「瑕疵担保責任」という言葉が使われていたものの、改正により「契約不適合責任」へと改められました。

しかし、品確法では「瑕疵担保責任」という用語が引き続き使用されています。瑕疵とは、「キズ」や「問題点」を意味する言葉です。

まず、品確法の対象となるのはすべての住宅ではなく、「新築住宅」だけです。さらに、そのうち「住宅の構造耐力上主要な部分等」部分の瑕疵で「構造耐力または雨水の浸入に影響のあるもの」だけが、品確法の対象となります(品確法94条)。

この「住宅の構造耐力上主要な部分等」とは、次の部分を指します(品確法施行令5条)。

  • 住宅の基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材、床版、屋根版、横架材のうち、その住宅の自重・積載荷重、積雪、風圧、土圧、水圧、地震などの震動・衝撃を支えるもの
  • 住宅の屋根、外壁、これらの開口部に設ける戸・わくなどの建具
  • 雨水を排除するため住宅に設ける排水管のうち、その住宅の屋根、外壁の内部、屋内にある部分

品確法では、新築住宅のこれらの瑕疵について引渡しから10年間の担保責任を負うこととされています(品確法94条、95条)。通知期間などについても、民法のような制限はありません。また、これに反する特約で発注者(購入者)側に不利なものは無効となります。

つまり、新築住宅のうち品確法の適用を受ける瑕疵については、契約書でどのような定めをしても、引渡しから10年間は修補請求・代金減額請求・損害賠償請求・契約解除などの責任追及がなされる可能性があるということです。

アクセルサーブ法律事務所は建設・不動産業界の法務に特化しており、品確法の瑕疵担保責任に関するご相談にも対応しています。契約不適合責任や瑕疵担保責任について相談できる弁護士をお探しの際は、アクセルサーブ法律事務所までお気軽にご相談ください。

住宅瑕疵担保履行法とは?

先ほど解説したように、品確法の規定により、新築住宅の一定の瑕疵については10年間の担保責任を負います。しかし、10年という長い年月の中で、住宅を供給した建設会社や不動産会社が倒産したり業績が悪化したりして責任を全うできない可能性もあるでしょう。そこで設けられているのが、この住宅瑕疵担保履行法です。

住宅瑕疵担保履行法は、品確法上の瑕疵担保責任が適切に履行されることを目的としています。この目的を達成できるよう、新築住宅を供給する建設会社や不動産会社に対して一定額の保証金の供託や一定の保険への加入を義務付けています。

必要な供託や保険への加入をしなかった場合、基準日(毎年3月31日)からの翌日から50日経過日以降に住宅新築工事の請負契約締結や自ら売主となる新築住宅の売買契約締結ができなくなります。

また、この規定に違反して契約を締結すると、刑事罰の適用対象となります。住宅瑕疵担保履行法の義務を履行しない影響は非常に大きいため、制度の内容を正しく理解して義務を果たしましょう。

住宅瑕疵担保履行法の適用対象となる建物・適用対象とならない建物

住宅瑕疵担保履行法における保険加入や保証金の供託が必要となるのは、どのような建物を供給する場合なのでしょうか?ここでは、対象となる建物と対象とならない建物をそれぞれ解説します。

適用対象となる建物

住宅瑕疵担保履行法の対象となる建物は、「新築住宅」です。

住宅とは、人の居住の用に供する家屋または家屋の部分(人の居住の用以外の用に供する家屋の部分との共用に供する部分を含む)です(住宅瑕疵担保履行法2条1項、品確法2条1項)。そして、「新築住宅」とは、新たに建設された住宅でまだ人の居住の用に供したことのないもの(建設工事完了日から1年を経過したものを除く)を指します(住宅瑕疵担保履行法2条1項、品確法2条2項)。

一般的にイメージする新築住宅のうち、完成後1年未満のものと考えておくとよいでしょう。

適用対象とならない建物

住宅瑕疵担保履行法の適用対象とならないのは、新築住宅以外の建物です。中古建物や、未使用であっても新築後1年以上を経過した建物は、住宅瑕疵担保履行法の対象とはなりません。

供給する物件が住宅瑕疵担保履行法の対象となるか否か判断に迷う場合には、アクセルサーブ法律事務所までご相談ください。当事務所は不動産・建設法務に特化しており、顧問契約にも対応しています。

住宅瑕疵担保履行法で求められる「保険加入」と「保証金の供託」とは?

先ほど解説したように、住宅瑕疵担保履行法では新築住宅を供給する不動産会社や建設会社に対して保険加入または保証金の供託を求めています。ここでは、住宅瑕疵担保履行法上の保険加入と保証金の供託の概要について解説します。

保険加入とは?

住宅瑕疵担保履行法上の保険加入とは、国土交通大臣の指定を受けた「住宅瑕疵担保責任保険法人」が提供する保険に加入することです。加入する保険は保険金額が2,000万円以上であるなど、一定の要件に適合するものである必要があります(住宅瑕疵担保履行法2条6項、7項)。

対象の新築住宅に引渡後10年以内に瑕疵が発見された場合、その新築住宅を供給した不動産会社や建設会社が責任をもって補修などの対応をすることが原則です。しかし、その住宅を供給した事業者が倒産などしている場合は、義務の履行ができません。

そのような際に発注者(買主)が保険法人に対して保険金を請求することで、瑕疵の修補などにかかる費用(保険金)が受け取れます。

保証金の供託とは?

住宅瑕疵担保履行法上の供託とは、一定額の保証金をあらかじめ法務局などの供託所に預けおくことです。供託すべき保証金の額は、供給した新築住宅の戸数に応じて算定されます(住宅瑕疵担保履行法施行令1条、5条)。

先ほど解説したように、対象の新築住宅に引渡後10年以内に瑕疵が発見された場合に補修などの義務を負うのは、原則としてその新築住宅を供給した不動産会社や建設会社です。しかし、その事業者が倒産などしている場合は、義務の履行ができません。

そのような際に発注者(買主)が法務局などの供託所に請求することで、瑕疵の修補などに必要な額の供託金の還付を受け取ることができます。

住宅瑕疵担保履行法の届出とは?

住宅瑕疵担保履行法には、届出義務が定められています。この規定により、新築住宅を供給する建設会社や不動産会社は、毎年一定事項を届け出なければなりません。ここでは、住宅瑕疵担保履行法の届出について概要を解説します。

届出義務の概要

住宅瑕疵担保履行法の届出とは、保証金の供託状況や保険の締結状況に関する届出です。法令の規定どおりに保証金の供託や保険の締結をしていることを確認する手段として、届出制度がとられています。

届出には、供託書の写しや住宅瑕疵担保責任保険契約を証する書面など一定の書面を添付しなければなりません。

届出先

住宅瑕疵担保履行法の基準日届出の提出先は、それぞれ次のとおりです。

  • 建設会社:建設業許可を受けている国土交通大臣(地方整備局等)または都道府県知事(同4条1項)
  • 不動産会社:宅建業免許を受けている国土交通大臣(地方整備局等)または都道府県知事(同12条1項)

建設会社であっても不動産会社であっても、自社が許可や免許を受けている行政庁に届け出ると理解しておくとよいでしょう。なお、届出は紙で行えるほか、国土交通大臣が提出先である場合にはgBizIDプライムアカウントを使ってオンラインで行うことも可能です。

届出期限

住宅瑕疵担保履行法の基準日届出の期限は、毎年の基準日(3月31日)から3週間以内です(住宅瑕疵担保履行法施行規則5条1項、16条1項)。基準日は自社の決算月に関わらず一律で3月31日とされているため、届出を忘れないよう注意しましょう。

なお、期限までに届出をしなかった場合や虚偽の届出をした場合には、50万円以下の罰金刑の対象となります(住宅瑕疵担保履行法42条)。

住宅瑕疵担保履行法に関するよくある質問

続いて、住宅瑕疵担保履行法に関するよくある質問とその回答を2つ紹介します。

住宅瑕疵担保履行法の保険料や供託金は、誰が支払う?

住宅瑕疵担保履行法の保険料や供託金は、対象の新築住宅を供給する建設会社や不動産会社が負担します。

対象物件であるにもかかわらず、保険加入も供託もしなかった場合の罰則は?

住宅瑕疵担保履行法の対象であるにもかかわらず保険加入も供託もしなかった場合、一定期間の経過後から住宅新築工事の請負契約締結や自ら売主となる新築住宅の売買契約締結ができなくなります(住宅瑕疵担保履行法5条、13条)。

これに違反して請負契約の締結や売買契約の締結をした場合、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象となります(同40条)。これらの刑は、併科される(両方が課される)こともあります。

住宅瑕疵担保履行法に関してお困りの際はアクセルサーブ法律事務所へご相談ください

住宅瑕疵担保履行法に関してお困りの際は、アクセルサーブ法律事務所へご相談ください。最後に、当事務所の主な特長を3つ紹介します。

  • 建設・不動産業界の法務に特化している
  • 業界実態を踏まえた実践的なアドバイスを得意としている
  • トラブルを防ぐ「予防法務」に注力している

建設・不動産業界の法務に特化している

アクセルサーブ法律事務所は建設・不動産業界の法務に特化しており、豊富なサポート実績を有しています。また、顧問契約の締結にも対応しており、住宅瑕疵担保履行法に関する事項など事業運営上の日常的なご相談への対応も可能です。

業界実態を踏まえた実践的なアドバイスを得意としている

法的に正しいこととビジネスとして望ましいことは、必ずしも一致しません。しかし、法令を軽視しては罰則の適用対象となるおそれがあるなど、事業に大きな打撃が及ぶ可能性があるでしょう。

そこで、アクセルサーブ法律事務所は法的なルールは守りつつ、「事業のさらなる発展・目標達成」も重視した実践的なアドバイスを提供しています。

トラブルを防ぐ「予防法務」に注力している

弁護士について、「トラブルが起きてから相談する人」というイメージを持っている人も多いようです。しかし、トラブルの中には、事前に適切な対策を講じることで防げるものも少なくありません。

そこで、アクセルサーブ法律事務所はトラブルが起きてからの対応のみならず、トラブルを防ぐ「予防法務」にも力を入れています。トラブルが起きないよう事前の対策を講じたい際は、当事務所までお気軽にご相談ください。

まとめ

住宅瑕疵担保履行法の概要について解説しました。

住宅瑕疵担保履行法とは、品確法上の担保責任の履行確保を目的とする法律です。その目的を実現するために、新築住宅を供給する不動産会社や建設会社に対して、所定の保険への加入や保証金の供託を義務付けています。

住宅瑕疵担保履行法の義務を果たさなければ、新築住宅の売買契約締結や住宅新築工事の請負契約締結ができなくなるなど、影響は小さくありません。法令の内容を正しく理解したうえで、適切に義務を果たしましょう。

アクセルサーブ法律事務所は建設・不動産業界の法務に特化しており、顧問契約にも対応しています。住宅瑕疵担保履行法の義務履行などについて日常的に相談できる業界特化型の弁護士をお探しの際は、アクセルサーブ法律事務所までお気軽にご連絡ください。

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