予防法務とは?メリットや具体例を建設・不動産会社向けに弁護士がわかりやすく解説

トラブルは発生してから対処することも可能であるものの、トラブルへの対処には時間も掛かるうえ、精神的な負担が生じることも少なくないでしょう。その結果、本業に支障をきたす事態ともなりかねません。
そこでおすすめなのが、トラブルを未然に防ぐ「予防法務」に取り組むことです。予防法務に取り組むことでトラブルの発生確率を引き下げることが可能となり、本業に注力しやすくなります。
では、予防法務とは、具体的にどのような対策を指すのでしょうか?また、予防法務について弁護士にサポートを受けることには、どのようなメリットがあるのでしょうか?今回は、予防法務の概要や企業が予防法務に取り組むメリット、予防法務の具体例などについて、弁護士がくわしく解説します。
なお、当事務所(アクセルサーブ法律事務所)は予防法務に注力しており、中でも建設会社様・不動産会社様のサポートを得意としています。トラブルを避けるため、予防法務について相談できる弁護士をお探しの際は、アクセルサーブ法律事務所までお気軽にご相談ください。
予防法務とは?
予防法務とは、紛争を未然に防ぐための対策や、紛争が生じた際に可能な限りスムーズに解決するための対策を指します。トラブルの中には避けることが難しいものもある一方で、事前の対策によって予防できたりトラブルの影響を最小限に抑えられたりするものも少なくありません。
予防法務は、しばしば「臨床法務」や「戦略法務」と比較されます。ここでは、それぞれの概要と予防法務との違いを解説します。
なお、企業経営においては予防法務と臨床法務、戦略法務がそれぞれ重要な役割を担います。そのため、どれか1つを選んで取り組むようなものではなく、必要に応じてこれらすべてにバランスよく取り組む必要があるでしょう。
臨床法務との違い
臨床法務とは、すでに発生しているトラブルに対処する法務を指し、被害を最小限に抑えることを目的とするものです。予防法務はトラブル発生前の対策であるのに対し、臨床法務はトラブル発生後の対応である点で異なります。
戦略法務との違い
戦略法務とは、経営戦略の立案や実行を支える法務のことです。予防法務も戦略法務も事前の対策という点では共通するものの、予防法務が「守り」の法務であるのに対し、戦略法務が「攻め」の法務である点で異なります。
企業が予防法務に取り組むメリット
企業が予防法務に取り組むメリットは、小さいものではありません。ここでは、予防法務の主なメリットを3つ解説します。
- トラブルを未然に防止しやすくなる
- トラブル発生時にスムーズな解決がしやすくなる
- 自信をもって経営に取り組みやすくなる
なお、アクセルサーブ法律事務所は予防法務に力を入れており、建設会社様や不動産会社様を中心に豊富なサポート実績を有しています。予防法務についてサポートを受ける弁護士をお探しの際は、アクセルサーブ法律事務所までお気軽にご相談ください。
トラブルを未然に防止しやすくなる
1つ目は、トラブルを未然に予防しやすくなることです。企業が予防法務に取り組むことで、トラブルを未然に防ぎやすくなります。
最終的に解決に至るとしても、万が一トラブルが発生すればその解決のためにリソースを投じる必要が生じ、本業に支障をきたしかねません。予防法務に取り組むことで、トラブルが起きる可能性を最小限に抑えることが可能となり、本業に注力しやすくなります。
トラブル発生時にスムーズな解決がしやすくなる
2つ目は、トラブル発生時にスムーズな解決がしやすくなることです。
予防法務を講じることでトラブルが起きる可能性を最小限に抑えることはできるとはいえ、相手のあることである以上、トラブルの発生確率をゼロにすることは困難です。しかし、予防法務に取り組むことで、万が一トラブルが発生した際にも、スムーズかつ自社に有利な解決をはかりやすくなります。
自信をもって経営に取り組みやすくなる
3つ目は、自信をもって経営に取り組みやすくなることです。
予防法務に取り組んでいない場合には自社の法務面への対応に自信を持ちづらく、何となく不安を感じながら対応に臨むことも多いかと思います。建設会社や不動産会社では大企業のように「法務部」がしっかり機能しているケースは稀であるため、その傾向は顕著でしょう。
予防法務に取り組むことで、法務面における自社の対応に自信を持つことができ、安心して経営に取り組みやすくなります。
予防法務の具体例
予防法務とは、具体的にどのような対策を指すのでしょうか?ここでは、予防法務の具体例を4つ解説します。
- 契約書の整備・審査
- 社内規程の整備
- コンプライアンス体制の整備
- 労務管理体制の整備
アクセルサーブ法律事務所は経営者目線でのより実践的なアドバイスを得意としており、実務面の負担も考慮したうえでの予防法務の提案も可能です。「トラブルは避けたいが、何をどうすべきかわからない」という場合にも、アクセルサーブ法律事務所までお気軽にご相談ください。
契約書の整備・審査
契約書の整備や審査は、予防法務の基本です。
取引に適用される基本的なルールは、民法などの法律で規定されています。しかし、法律で定められているのは汎用的かつ基本的なルールであるため、実際にトラブルが発生しようとすると「このケースをそのまま法律のこの規定に当てはめてよいのだろうか?」など解釈に迷ったり、そもそも法律には正面からの規定がなく対応に苦慮したりすることも少なくないでしょう。また、法律の規定がそのまま適用されては困った事態が生じるため、法律の規定を変更したい場合もあると思います。
そこで役に立つのが、契約書です。契約当事者が合意をして締結した契約書の内容は、契約の定めにかかわらず強制的に適用される「強行法規」に関するものを除き、原則として法律の規定に優先されます。つまり、契約書に定めることで民法などの法律の規定を個別事情に合わせて変更したり、法律では規定のない事項について取り決めたり、法律の規定をよりくわしく定めたりすることが可能になるということです。
なお、そもそも工事請負契約の締結時など、契約書の交付が法令で義務化されている場合もあります(建設業法19条)。
契約書を取り交わすことを、「面倒」と感じることもあるかもしれません。しかし、きちんと内容が検討された契約書を取り交わすことはトラブル予防につながるほか、いざというときに自社の身を守ることにもつながります。そのため、契約書の整備は、予防法務の「一丁目一番地」であるといえるでしょう。
社内規程の整備
予防法務としては、社内規程の整備も不可欠です。
企業の規模が一定以上になると、経営陣がすべての従業員の業務を直接監督することは難しくなるでしょう。そうであるからこそ、社内規程を整備して「業務上守るべきルール」を明確にすることが必要となります。
コンプライアンス体制の整備
予防法務としては、コンプライアンス体制も整備すべきでしょう。コンプライアンスは「法令遵守」と訳されることが多いものの、法令のほか社会規範などの遵守も含むことが一般的です。
建設会社や不動産会社では、業法である「建設業法」や「宅建業法」も適用されます。しかし、実際にはこれらの業法をすべて遵守できていない場合もあるでしょう。これらを遵守できていなければ行政指導や公表、場合によっては営業停止や許可の取り消し処分の対象となるおそれもあります。
そのため、まずはこれらの業法を理解したうえで、これらを遵守する体制を整備すべきでしょう。
労務管理体制の整備
トラブルは、外部の企業などとの間で起こるものばかりではありません。従業員や退職した元従業員との間で起きるトラブルも散見されます。
労使間のトラブルは、企業側が労働基準法などの労基法を遵守することで避けられることがほとんどです。そのため、予防法務では労務管理体制の整備にも取り組む必要があるでしょう。
予防法務について弁護士にサポートを受けるメリット
予防法務に取り組む際は、弁護士のサポートを受けるのがおすすめです。ここでは、予防法務について弁護士にサポートを受ける主なメリットを3つ解説します。
- 法令の的確な理解のもとで予防法務を進められる
- 自社に合った予防法務体制を構築できる
- 業界で起こりやすいトラブルから「逆算」をした対策が講じられる
予防法務に取り組みたい企業様は、アクセルサーブ法律事務所までお気軽にご相談ください。当事務所は建設会社様や不動産会社様が取り組む予防法務について、豊富なサポート実績を有しています。
法令の的確な理解のもとで予防法務を進められる
予防法務に的確に取り組むには、法令への正しい理解が不可欠です。誤った理解のまま予防法務に取り組むと、的外れな対策をしてしまったり、逆効果でトラブルの原因となったりするおそれもあるでしょう。
弁護士のサポートを受けることで、法令の正しい理解のもとで、予防法務への取り組みを的確に進めることが可能となります。
自社に合った予防法務体制を構築できる
予防法務に取り組む際は、実務の負担とのバランスも考慮すべきでしょう。そのため、中小企業が大企業と同等の予防法務を講じることは確かに望ましいことである反面、実務面で無理が生じるおそれも否定できません。
建設会社や不動産会社へのサポート実績が豊富な弁護士は、現場の実態も踏まえてアドバイスを行うため、自社に合った予防法務体制が講じやすくなります。
業界で起こりやすいトラブルから「逆算」をした対策が講じられる
予防法務は、起きやすいトラブルから「逆算」をして取り組むことがポイントです。とはいえ、生じたトラブルは同業他社との間で共有されないことも多く、業界に身を置いているとしても、起きやすいトラブルを把握するのは容易ではないでしょう。
一方で、弁護士はトラブルが発生してから対応を依頼されることも多く、業界内で起きやすいトラブルを熟知しています。また、トラブル対応にあたる中で「このような対策を講じていればトラブルを避けられたのに」「契約書にこのような規定があればもう少しスムーズにトラブル解決がはかれたのに」と悔しく感じることも少なくありません。
弁護士に依頼することでこれらを踏まえたサポートを受けることができ、起きやすいトラブルから「逆算」とした効果的かつメリハリのある予防法務が実現しやすくなります。
予防法務に関するよくある質問
続いて、予防法務に関するよくある質問とその回答を2つ紹介します。
予防法務は誰に相談すればよい?
予防法務の相談先としては弁護士が適任であるといえます。なぜなら、弁護士は法令のプロであるためです。
また、トラブルが発生してから対応にあたることも多いため、起きやすいトラブルやトラブルの解決にあたって重視されるポイントも熟知しており、そこから「逆算」をした的確な予防法務の支援が受けられます。
予防法務にデメリットはある?
予防法務に取り組むデメリットとしては、手間がかかることと、弁護士にサポートを依頼する場合にはコストがかかることが挙げられます。
しかし、これらのデメリットはいずれも短期的な視点によるものであり、長期的な視点で見ればメリットの方が大きいといえるでしょう。予防法務によりトラブルを避けることができれば、トラブルに対応する手間やコストを大きく削減できます。また、トラブルが発生した際に経済的な損失を最小限に抑えやすくなります。
予防法務について相談できる専門家をお探しの際はアクセルサーブ法律事務所までご連絡ください
予防法務について相談できる専門家をお探しの際は、アクセルサーブ法律事務所までご連絡ください。最後に、当事務所の主な特長を3つ解説します。
- 予防法務に注力している
- 建設・不動産業界に特化している
- 経営者目線でのより実践的なアドバイスを提供する
予防法務に注力している
弁護士について、「トラブルが起きてから相談をする人」という認識を持っている経営者様も少なくないようです。しかし、先ほど解説したように的確な予防法務を講じることでトラブルが起きる可能性を引き下げられるほか、万が一トラブルが発生した際の影響を最小限に抑えやすくなります。
トラブルを避けられればその対応に時間やコストなどのリソースを割く必要がなくなり、安心して本業に取り組みやすくなるでしょう。
アクセルサーブ法律事務所は「助け合い、称え合い、共に成長し、喜び合う―それが当たり前の世界を創る」ことを最終的なゴールに設定しており、これを実現するため、予防法務に注力しています。予防法務について豊富な実績を有しているため、クライアント様の状況や規模などを踏まえた最適なアドバイスが実現できます。
建設・不動産業界に特化している
建設・不動産業界は社会の中で重要な役割を担っているうえ、「人と人との尊敬」や「義理、人情」が尊重される素晴らしい業界であると感じています。その反面、契約書がないまま仕事を進めることも散見されるなど、どうしても紛争やトラブルが起こりやすい業界でもあるでしょう。
アクセルサーブ法律事務所は、「義理・人情」に「法律の正しい使い方」を丁寧に持ち込むことで建設業・不動産業に従事する方々にもっともっと光っていただける未来を目指し、これらの業界へのサポートに特化しています。
経営者目線でのより実践的なアドバイスを提供する
法的に正しいことと、事業にとって最適なことは一致しない場合もあります。そうであるにもかかわらず、弁護士が経営面に配慮せず法的な正しさだけを追求すれば、せっかく講じた予防法務も形骸化してしまいかねないことでしょう。
アクセルサーブ法律事務所では建設・不動産のビジネス的理解も踏まえ、法的なルールは守りつつも、その先の「事業のさらなる発展・目標達成」も重視した実践的なアドバイスを提供します。
まとめ
予防法務の概要や予防法務に取り組むメリット、予防法務の具体例、予防法務への取り組みで弁護士にサポートを受けるメリットなどを解説しました。
予防法務とは、紛争を未然に防ぐための対策や、紛争が生じた際に可能な限りスムーズに解決するための対策です。具体的には、契約書の整備・審査、社内規程の整備、コンプライアンス体制の整備などがこれに該当します。
予防法務に取り組む際は、弁護士のサポートを受けるとよいでしょう。弁護士のサポートを受けることには、法令の的確な理解のもとで予防法務を進めることが可能となることや自社に合った予防法務体制の構築しやすくなること、起こりやすいトラブルから「逆算」をした対策が講じやすくなることなどのメリットがあります。
アクセルサーブ法律事務所は建設・不動産業界に特化しており、予防法務のサポートを得意としています。予防法務についてサポートを受けられる弁護士をお探しの際は、アクセルサーブ法律事務所までお気軽にお問い合わせください。


