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【2025】追加工事のトラブルを避けるための対策方法は?弁護士がわかりやすく解説

【2025】追加工事のトラブルを避けるための対策方法は?弁護士がわかりやすく解説

建設工事の現場では、追加工事が生じることも多いでしょう。しかし、その追加工事が原因でトラブルに発展するケースも散見されます。

では、追加工事に関するトラブルには、どのようなものがあるのでしょうか?また、追加工事に関するトラブルを避けるには、どのような対策が有効なのでしょうか?今回は、追加工事にまつわる主なトラブルを紹介するとともに、追加工事に関するトラブルを避ける対策について弁護士がくわしく解説します。

なお、当事務所(アクセルサーブ法律事務所)は建設・不動産業界に特化しており、追加工事のトラブルについても豊富な解決実績を有しています。追加工事に関してトラブルが生じてお困りの際や、追加工事でのトラブルを避ける対策を講じたい際などには、アクセルサーブ法律事務所までお気軽にご相談ください。

目次
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  1. 追加工事に関するトラブルの例
    1. 顧客から求められて追加工事をしたにも関わらず、追加工事分の報酬支払いを拒絶される
    2. 不測の事態により追加工事が発生したにも関わらず、追加工事分の報酬支払いを拒絶される
    3. 不測の事態により多額の追加工事が発生したことで契約が解除され、その時点までの工事代金の支払いを拒絶される
  2. 追加工事がトラブルに発展しやすい主な理由
    1. 追加工事に関する合意が口頭のみで行われたから
    2. 当初の契約で工事の範囲が明確となっていなかったから
    3. 施主へ説明する前に現場判断で追加工事をしたから
  3. 追加工事に関するトラブルを避ける対策:当初契約時
    1. 契約書をきちんと取り交わす
    2. 工事の仕様を明確にする
    3. 追加費用が生じるケースを例示して明確にする
    4. 中途解約時の報酬請求権を明確にする
  4. 追加工事に関するトラブルを避ける対策:追加工事発生時
    1. 追加工事の施工前に、施主に丁寧に説明する
    2. 追加費用や工期延長の合意をしたら書面に残す
    3. 現場判断での追加工事を禁止する
  5. 追加工事のトラブルに関するよくある質問
    1. 追加工事を口頭で合意した場合、契約は成立しない?
    2. 追加工事について押印までもらえない場合はどうすべき?
  6. 追加工事のトラブル予防はアクセルサーブ法律事務所にお任せください
    1. 建築・不動産業界に注力している
    2. 予防法務に力を入れている
    3. 経営者目線での実践的なアドバイスをする
  7. まとめ

追加工事に関するトラブルの例

はじめに、追加工事に関するトラブルの例を紹介します。

顧客から求められて追加工事をしたにも関わらず、追加工事分の報酬支払いを拒絶される

1つ目は、顧客からの求めに応じて追加工事をしたにも関わらず、追加工事分の報酬支払いを拒絶されるトラブルです。

追加工事は、顧客の希望によって発生することも少なくありません。しかし、建設業者側としてはその分の報酬が当然に増加すると考えている一方で、施主が当初の報酬内で対応してくれると考えていると、追加工事の報酬請求に関してトラブルとなる可能性があります。

不測の事態により追加工事が発生したにも関わらず、追加工事分の報酬支払いを拒絶される

2つ目は、不測の事態により追加工事が発生したにも関わらず、施主から追加工事分の報酬支払いを拒絶されるトラブルです。

工事を施工する中で、不測の事態が生じることもあります。たとえば、建物の基礎工事をしようとして土地を掘り返したところ、古い建物の基礎や廃棄物などの残置物が見つかった場合などです。この場合にはまずその残置物の撤去工事をしたうえで、本来の工事に入ることとなるでしょう。

この不測の事態は今回建設工事をしようとしている建設業者の責任によるものではないため、建設業者側としては、当然にその分の追加報酬が請求できると考えます。一方で、施主としては当初の報酬内で対応してくれると考えていると、追加工事の報酬請求でトラブルとなる可能性があります。

不測の事態により多額の追加工事が発生したことで契約が解除され、その時点までの工事代金の支払いを拒絶される

3つ目は、不測の事態により多額の追加工事が発生する必要が判明した際、その時点で施主から契約が解除され、その時点までの工事代金の支払いを拒絶されるトラブルです。

先ほど解説したように、工事を進行する中で、残置物が見つかるなど不測の事態が生じることもあります。その事実やその事態に対応するための追加工事の費用を施主に伝えたところ、施主から「それだけの費用が掛かるのであれば、工事は取りやめる」として解除される場合もあると思います。施主側にも予算があるため、これは致し方ない面もあります。

しかし、その時点までの工事に要した費用や報酬の支払いを拒絶され、トラブルとなる可能性があります。

追加工事がトラブルに発展しやすい主な理由

追加工事がトラブルに発展しやすい原因は、どのような点にあるのでしょうか?ここでは、追加工事がトラブルとなりやすい主な理由を解説します。

  • 追加工事に関する合意が口頭のみで行われたから
  • 当初の契約で工事の範囲が明確となっていなかったから
  • 施主へ説明する前に現場判断で追加工事をしたから

追加工事に関する合意が口頭のみで行われたから

工事請負契約を締結する際は、所定の事項を記した契約書を取り交わさなければなりません(建設業法19条1項)。また、追加工事が生じたなど、工事の変更が生じた場合も同様です(同2項)。

しかし、実際には本体工事の契約を書面で交わす一方で、追加工事の合意が口頭のみで行われることも少なくないでしょう。そのため、追加工事の報酬などについて「言った・言わない」の齟齬によるトラブルが生じやすくなります。

当初の契約で工事の範囲が明確となっていなかったから

当初の建築請負契約において工事の範囲が明確になっていない場合、追加工事が「当初の契約(報酬額)の範囲」に含まれると解釈される余地が生じ、トラブルが生じやすくなります。

たとえば、当初の工事の契約書に仕様書を添付しないなど工事の範囲が明確となっていない場合、後から「窓を増やしたい」「コンセント口を増やしたい」などの施主の要望があった際に、これが当初の契約(報酬)の範囲なのか追加工事なのかについて齟齬が生じ、追加報酬の支払いでトラブルとなる可能性があります。

施主へ説明する前に現場判断で追加工事をしたから

実際に現地で建築工事に従事する人の多くは、元請企業ではなく、下請企業の従業員でしょう。元請企業と下請企業との連携がうまくいっていなかったり、下請企業が元請企業から工事を急かされていたりすると、現場の状況から追加工事の必要性が生じた際に元請企業へ相談せず、現場の判断で工事を進めてしまう可能性が生じます。

このような場合には、施主が追加工事の説明を受ける機会を逸しやすく、報酬を請求する段階でトラブルとなる可能性が高くなります。

追加工事に関するトラブルを避ける対策:当初契約時

追加工事に関するトラブルを避けるには、どのような対策を講じればよいのでしょうか?ここでは、その工事について最初に契約を交わす時点で講じるべき対策を4つ解説します。

  • 契約書をきちんと取り交わす
  • 工事の仕様を明確にする
  • 追加費用が生じるケースを例示して明確にする
  • 中途解約時の報酬請求権を明確にする

契約書をきちんと取り交わす

1つ目は、契約書をきちんと取り交わすことです。

先ほど解説したように、建設工事を請け負う際には、工事内容や請負代金の額、工事着手の時期・工事完成の時期などを明記した契約書を交わさなければなりません。しかし、実際には契約書を交わさないまま工事を開始するケースも多いようです。

契約書がないことは建設業法に違反するのみならず、トラブルの原因となったりトラブル発生時にスムーズな解決が難しくなったりするおそれも生じます。そのため、自社の身を守るためにも、契約書は必須であると考えておきましょう。

工事の仕様を明確にする

2つ目は、工事の仕様を明確にすることです。

契約書を交わす際は、工事の仕様書を作成したうえで双方で確認し、その契約で行う工事の範囲を明確にしておきましょう。その契約(その報酬額)で施工する工事の範囲を仕様書などで明確にすることで、追加工事が発生した際に追加費用についても合意を得やすくなります。

追加費用が生じるケースを例示して明確にする

3つ目は、追加費用が生じるケースについて例示し、理解を得ておくことです。

施主が、建築工事の実態や報酬の算定方法などを正しく理解していることは多くありません。そのため、たとえば1億円の報酬でAという建物を建てる契約である場合、施主としては「1億円の対価としてA建物を建ててもらう」ことこそが目的なのであり、その過程は建設業者に任せると考えることも多いでしょう。つまり、自身が何らかの追加要求をしたのであればまだしも、材料費が上がる、予期せぬ追加工事が発生する、想定しない残置物が出るなど自身の責任ではない何らかの障害が生じた場合、それはその金額の範囲内で建設業者側に工夫してもらえると考えている可能性も高いということです。

しかし、実際には工事開始後に生じる不測の事態が、必ずしも当初の対価の範囲内で賄えるわけではないでしょう。ここに、建設業者と施主との間の認識の違いがあります。

このような認識の差を埋めるため、材料費の高騰や追加工事が必要となるなどの不測の事態が生じた際は追加報酬が発生する旨を丁寧に説明しておく必要があります。説明する際に追加費用が発生するケースの具体例などを示すことで、施主の理解を得やすくなります。

中途解約時の報酬請求権を明確にする

4つ目は、中途解約時の報酬請求権を明確にすることです。

先ほど解説したように、多額の費用がかかる追加工事が必要となったことを理由として工事契約が解除された際、そこまでの報酬を支払ってもらえない可能性があります。

また、その時点までの報酬の支払いについては納得が得られても、具体的な報酬額の算定について紛争となる可能性もあるでしょう。建設業者としてはその時点までに行った工事の対価はきちんと支払ってほしいと考えている一方で、施主としては結果的に建物が建てられなかったのに、報酬だけを支払う事態はできるだけ避けたいと考えるのが自然であるためです。

このようなトラブルを避けるために有効なのが、契約書への定めです。契約書に中途解約時にその時点までの報酬請求ができる旨を明記したうえで、中途解約時の報酬の具体的な算定方法を明記することで、このようなトラブルを避けやすくなります。

とはいえ、自社だけで的確な契約書を作成することは容易ではないでしょう。アクセルサーブ法律事務所は紛争予防の対策に力を入れており、建設業者様へのサポート実績を豊富に有しています。追加工事のトラブルを避けるための契約書作成をご希望の際は、アクセルサーブ法律事務所までご相談ください。

追加工事に関するトラブルを避ける対策:追加工事発生時

追加工事に関するトラブルを避けるには、追加工事発生時の対応にも留意が必要です。ここでは、追加工事の発生時に注意すべきポイントを3つ解説します。

  • 追加工事の施工前に、施主に丁寧に説明する
  • 追加費用や工期延長の合意をしたら書面に残す
  • 現場判断での追加工事を禁止する

追加工事の施工前に、施主に丁寧に説明する

追加工事に関するものに限らず、適切な時期に適切な報告・説明をすることで避けられるトラブルは少なくありません。追加工事の必要性が生じた際は、追加工事の施工前に、次の事項などを施主に丁寧に説明しましょう。

  • 追加工事が必要となる旨
  • 追加工事によって報酬が増加する旨と、増加後の報酬額
  • 追加工事によって工期が伸びる場合には、その旨

これらを丁寧に説明することで追加工事に関する施主の理解が得られ、トラブルを避けやすくなります。

追加費用や工期延長の合意をしたら書面に残す

追加工事による工期延長や報酬増加などについて施主の合意が得られたら、その旨を書面に残しましょう。追加工事について口頭で施主に説明し、その場では合意が得られたように思えても、後から「聞いていない」と主張される可能性は否定できないためです。

先ほど解説したように、そもそも建設業法では追加工事についても契約書を交わすよう求めています(同19条2項)。追加工事が発生した際に改めて契約書を交わすことで建設業法を遵守できるのみならず、施主との間で「言った・言わない」の齟齬が生じる事態も避けられます。

現場判断での追加工事を禁止する

追加工事に関するトラブルを避けるには、現場判断での追加工事を禁止するよう従業員や下請企業に周知する対策も有効です。現場の判断で追加工事をしてから施主に「事後報告」をした場合、追加報酬について理解が得られないおそれがあるためです。

追加工事について事前に施主に説明し承諾を得る運用を実現するには、下請企業などの協力も必要となるでしょう。

追加工事のトラブルに関するよくある質問

続いて、追加工事のトラブルに関するよくある質問とその回答を2つ紹介します。

追加工事を口頭で合意した場合、契約は成立しない?

追加工事について口頭で合意をしたとしても、契約自体は成立します。建設業法では追加工事の発生など建築請負工事の変更について契約書を交わすことを求めているものの、口頭での合意であることを理由に契約が成立しないわけではありません。

ただし、口頭での合意では、後から「言った・言わない」などのトラブルや認識の齟齬に関するトラブルが生じやすいため、可能な限り書面を取り交わすべきでしょう。

追加工事について押印までもらえない場合はどうすべき?

追加工事について合意は得られた一方で施主からの押印取り付けまでが難しい場合には、可能な限り証拠を残すよう努めましょう。

追加工事が生じた際、施主の署名や押印をもらうことが望ましいのは大前提です。しかし、これが難しい場合には、追加工事の内容や改訂後の報酬額、改訂後のスケジュールなどの資料をメールで送るなどの工夫をするとよいでしょう。

このような工夫は、相手から「聞いていない」と主張されるリスクを低下させることにつながります。

追加工事のトラブル予防はアクセルサーブ法律事務所にお任せください

追加工事のトラブル予防は、アクセルサーブ法律事務所にお任せください。最後に、当事務所の主な特長を3つ紹介します。

  • 建築・不動産業界に注力している
  • 予防法務に力を入れている
  • 経営者目線での実践的なアドバイスをする

建築・不動産業界に注力している

弁護士にはそれぞれ注力する分野があることが多い中で、アクセルサーブ法律事務所は建築・不動産業界に特化しています。これは、当事務所の代表である小澤が幼少期にあこがれた職業が「大工さん」であることや、義理と人情が重視される素晴らしい業界であるにもかかわらず、紛争やトラブルが多い事態を何とか変えたいと考えているためです。

建設・不動産業界の経営者様へのサポート実績が豊富であるうえ、業界の取引実態や慣習、関連する事例や裁判例などに日々アンテナを立てているため、より的確なリーガルサポートが実現できます。

予防法務に力を入れている

アクセルサーブ法律事務所の目標は、「助け合い、称え合い、共に成長し、喜び合う―それが当たり前の世界を創る」ことにあります。これを実現するため、トラブルが発生してからのサポートのみならず、紛争を予防する対策の支援にも力を入れています。

経営者目線での実践的なアドバイスをする

せっかく弁護士へ相談しても、業界実態にそぐわない非現実的なアドバイスをされてしまえば、不安や不満が残ってしまうことでしょう。アクセルサーブ法律事務所は法律的知見に終始するのではなく、建設・不動産のビジネス的理解も踏まえたトラブル解決に力を入れています。

「事業のさらなる発展・目標達成」を重視したアドバイスを受けられる弁護士をお探しの際は、アクセルサーブ法律事務所までお気軽にお問い合わせください。

まとめ

追加工事に関するトラブル事例を紹介するとともに、追加工事にまつわるトラブルを避ける対策などを解説しました。

追加工事に関するトラブルは、少なくありません。これは、追加工事の合意が口頭でなされるケースが多いことや、現場判断で追加工事を進めるケースがあることなどによるものです。

追加工事に関するトラブルを避ける対策としては、当初の契約時に追加工事が生じた際は追加費用が掛かる旨を丁寧に説明することや、工事の範囲を仕様書などで明確にすることなどが有効です。また、実際に追加工事が必要となった際は現場判断での工事は避け、施主に丁寧に説明をしたうえで書面を取り交わしておきましょう。

アクセルサーブ法律事務所は建設・不動産業界に特化しており、追加工事に関するトラブルについても豊富な解決実績を有しています。追加工事のトラブルでお困りの際や、追加工事のトラブルを避ける対策をご検討の際は、アクセルサーブ法律事務所までお気軽にご相談ください。

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