工事現場のクレームへの対応方法は?対応のポイントやよくあるクレームを弁護士が解説

工事現場に関するトラブルの1つに、周辺住民からのクレームが挙げられます。クレームに対して適切に対処しなければ、さらに大きなトラブルの原因ともなりかねません。大きなトラブルに発展すれば相手方への対応が必要となるほか解決策の検討なども必要となり、工事のスケジュールに支障をきたす可能性もあるでしょう。
では、工事現場に関してよくあるクレームには、どのようなものがあるのでしょうか?また、工事現場にクレームが入った場合、どのように対処すればよいのでしょうか?今回は、工事現場に寄せられやすいクレームを紹介するとともに、工事現場にクレームが入った場合の対処法やクレーム対応のポイント、工事現場でのクレームを避ける対策などについて弁護士がくわしく解説します。
なお、当事務所(アクセルサーブ法律事務所)は建設業界へのサポートに特化しており、工事現場のクレームに関するご相談への対応実績も豊富です。工事現場のクレームについて相談できる弁護士をお探しの際は、アクセルサーブ法律事務所までお気軽にお問い合わせください。
工事現場でよくあるクレーム
はじめに、工事現場でよくあるクレームを5つ紹介します。
- 振動・騒音に関するクレーム
- 従業員の態度・マナーに関するクレーム
- 土埃などへのクレーム
- 工事車両に関するクレーム
- 近隣住民への説明不足によるクレーム
振動・騒音に関するクレーム
1つ目は、振動や騒音に関するクレームです。工事現場では、作業の内容に応じてどうしても周囲に振動や騒音が生じます。そのため、これについてクレームが入るなされる可能性があるでしょう。
従業員の態度・マナーに関するクレーム
2つ目は、従業員の態度やマナーに関するクレームです。たとえば、工事現場周辺での大声での談笑や工事現場周辺での喫煙、ゴミのポイ捨てなどがクレームの対象となることが多いでしょう。
土埃などへのクレーム
3つ目は、土埃へのクレームです。工事の内容によっては周囲に土埃が舞い上がり、車や洗濯物が汚れるなどの実害が生じることがあります。これについて、周辺住民からクレームが入る場合があるでしょう。
工事車両に関するクレーム
4つ目は、工事車両に関するクレームです。工事現場には、多かれ少なかれ工事車両が出入りします。その工事車両の出入りが多く周辺住民の生活環境が悪化していたり、工事関係車両が路上駐車をして交通の妨げとなっていたりすれば、これに関してクレームが入る可能性があります。
近隣住民への説明不足によるクレーム
5つ目は、近隣住民への説明不足に関するクレームです。
工事現場の近隣に居住しているにもかかわらず、事前に工事に関して説明や挨拶がない場合、これ自体がクレームの対象になることがあります。工事現場に隣接する住居へはもちろん、音が響いたり土埃の飛散による影響が及んだりし得る範囲の住民への挨拶を徹底することで、このようなクレームを避けやすくなるでしょう。
また、高さのあるマンションなどの建設では、日照権侵害や景観の侵害などを理由に、工事の中断を求められる場合もあります。大きな建物の建設は周辺住民への影響も大きいため、事前に説明会を開くなど特に慎重な対応が必要となります。
アクセルサーブ法律事務所は予防法務に力を入れており、トラブルが発生してからの対応はもちろんのこと、トラブルを避ける対策についてもご相談いただけます。工事現場へのクレームを避ける対策を講じたいとお考えの際は、アクセルサーブ法律事務所までお気軽にご相談ください。
工事現場にクレームが入った場合の初期対応
工事現場にクレームが入ったら、まずはどのように対応すればよいのでしょうか?ここでは、工事現場にクレームが入った場合における対応の流れを解説します。
- 真摯に話や要求内容などを聞く
- チームや社内で情報を共有する
- 具体的な対応方法を検討する
- 解決策を提示して理解を得る
- 再発防止策を講じる
真摯に話や要求内容などを聞く
工事現場にクレームが入ったら、まずは相手方から真摯に話を聞きます。そのうえで、相手が何を求めているのか、要求内容を確認しましょう。
一口に「クレーム」といっても、たとえば「深夜や早朝の工事を控えてほしい」「作業員の路上喫煙を辞めてほしい」など常識的な内容を求めるもある一方で、金銭の支払いや土下座での謝罪など過剰な内容を求めるものもあるためです。また、中には日照権の侵害などを理由に、工事の中断を求める場合もあると思います。
要求内容を確認する一方で、この段階では要求内容に対してその場で安易に回答することは避け、「社内で共有して対応策を検討する」などと回答するに留めましょう。
チームや社内で情報を共有する
工事現場にクレームが入ったら、その内容を社内やチームで共有します。クレーム情報を共有することでクレームへの対処法を社内・チーム内で検討できるほか、企業やチームが一丸となって再発防止策に取り組むことが可能となるためです。
具体的な対応方法を検討する
チームや社内でクレーム情報を共有したら、そのクレームの内容や重要度などに応じて具体的な対応方法を検討します。その際、法的な規制もきちんと遵守できているか、確認する必要があります。
たとえば、騒音規制法・振動規制法では、建設工事で著しい騒音・振動を発生する作業を「特定建設作業」として指定し、作業開始の7日前までに届出をすることを求めたり、勧告基準(作業時間の制限や 騒音・振動の基準値)が定められたりしています。これらの規制が守られているかも今一度チェックします。
なお、金銭の支払いを要求されている場合や工事の中断を求められている場合など対応に迷う場合には、弁護士へご相談ください。このような場合に安易に対応すれば、対応時の発言の揚げ足を取られたり要求がエスカレートしたりして、さらなるトラブルの原因となるおそれがあるためです。
工事現場のクレームへの対応でお困りの際は、アクセルサーブ法律事務所までご相談ください。当事務所は工事現場へのクレーム対応についても豊富なサポート実績を有しており、状況に応じた最適な解決策を提案します。
解決策を提示して理解を得る
具体的な対応方法が決まったら、必要に応じてクレームを入れた相手に連絡し、報告します。常識的な内容のクレームであれば、具体的な解決策を報告することで理解が得られる可能性が高いでしょう。
一方で、金銭の要求や工事の中断要求など対応が難しいクレームの場合には、納得を得ることは難しいかもしれません。その場合には、弁護士に代理で相手方に説明してもらうことも可能です。
再発防止策を講じる
解決策を提示したら、具体的に再発防止策を講じます。
たとえば、深夜や早朝の騒音が問題となっている場合には深夜や早朝の工事をしないよう作業時間を守るよう徹底させることが検討できます。また、工事車両の出入りの危険性が問題となっている場合には適切に交通誘導員を配置するとすること、作業員の喫煙が問題となっている場合には現場内に喫煙室を設けたり現場周辺での喫煙を禁止したりするなどが検討できるでしょう。
工事現場でのクレーム対応のポイント
工事現場でのクレームに対応する際は、どのようなポイントを押さえればよいのでしょうか?ここでは、クレーム対応の主なポイントを2つ解説します。
- 自分事として話を聞く
- 相手の要求にその場で返答することは避ける
自分事として話を聞く
1つ目は、自分事として話を聞くことです。
1つの工事現場には、さまざまな企業の従業員が関わる場合も多いでしょう。そのため、たとえば路上喫煙をしている従業員が下請企業の従業員であるなど、クレームの内容が自社には直接関係のないものである場合もあるかもしれません。
しかし、外部から見ればその工事現場に出入りする人はすべてが関係者という認識であることも多く、「自分は関係ない」という態度では火に油を注ぎかねないでしょう。
工事現場へのクレームに対応することになった場合は、たとえ他社の従業員に関することであったとしても「関係ない」という態度を取るのではなく、自分事として真摯に対応することがポイントです。
相手の要求にその場で返答することは避ける
2つ目は、相手の要求に対してその場で返答するのは避けることです。
その工事の最高責任者でもない限り、クレームを入れている相手への要求についてその場で回答することは避けるべきでしょう。安易に何らかの約束をしてしまうと、その後その約束を守るのが難しい場合にさらなる問題に発展するおそれがあるためです。
たとえば、騒音を出すのをやめるように申し入れられた際に、安易に「わかりました」などと応じてしまうと、その相手が騒音がやんでいないと感じた際に「約束したじゃないか」とさらに怒り増幅されるかもしれません。
そのため、相手の要求にその場で返答することは避け、まずは意見をいただいたことにお礼を伝え、その場では「社内で共有して対策を検討します」などの対応に留めるべきでしょう。
また、中でも工事を辞めるよう求めている場合や金銭の支払いを要求している場合、連日のようにクレームを申し入れられ工事の進行に支障が出ている場合などには、特に慎重な対応が必要です。このようなクレームについて対応にお悩みの際は、アクセルサーブ法律事務所までご相談ください。
工事現場でのクレームを避ける対策
工事現場でのクレームをゼロにするのは困難である一方で、適切な対策をすることで、クレームの発生頻度を下げることは可能です。ここでは、工事現場でのクレームを避ける主な対策を4つ解説します。
- 事前に近隣住民への挨拶や説明を徹底する
- 作業員にマナー研修を実施する
- 適切な作業計画を立てる
- 交通誘導員を適切に配置する
アクセルサーブ法律事務所には、クレームやトラブルが発生してからの対応のみならず、トラブルやクレームを避けるための対策もご相談いただけます。工事現場でのクレームを避ける対策を講じたい際は、アクセルサーブ法律事務所までご相談ください。
事前に近隣住民への挨拶や説明を徹底する
工事現場でのクレームを避けるには、事前に近隣住民への挨拶や説明を徹底するとよいでしょう。振動・騒音、工事車両に関する工事現場へのクレームは、「事前の説明がない」ことが原因で発生することも多いためです。
工事により影響が及ぶ可能性のある近隣住民に事前に挨拶し、工事の内容や工期などを説明することで近隣住民の理解が得られ、クレームを避けやすくなります。
作業員にマナー研修を実施する
工事現場でのクレームを避ける対策としては、作業員へのマナー研修も有効です。
たとえ実際には「よい人」であったとしても、近隣住民は作業員の内面までは見えません。そのため、たとえば態度が一見横柄に見えたり言葉遣いがよくなかったりすれば、クレームの対象となるおそれがあります。
事前にマナー研修を行うことで、近隣住民が不快に感じるような言動を避けられ、クレームを回避しやすくなります。
適切な作業計画を立てる
工事現場のクレームを避ける対策としては、適切な作業計画を立てることも重要です。たとえ日中の騒音や振動については「仕方がない」と受忍してもらえる場合でも、深夜や早朝にまで騒音や振動がするとなればクレームになる可能性が高いでしょう。
工事が深夜や早朝に及ぶのは、無理な計画を立てたことで作業に遅れが生じ、深夜や早朝に工事をしなければ工期に間に合わない場合が多いかと思います。適切な作業計画を立てることで深夜や早朝に工事をすべき必要性がなくなり、クレームを減らすことにつながります。
交通誘導員を適切に配置する
工事現場のクレームを避けるには、交通誘導員を適切に配置する対策も有効です。交通誘導員を適切に配置することで工事車両の出入りがスムーズとなり、工事車両に関するクレームを避けやすくなります。
工事現場のクレームに関するよくある質問
続いて、工事現場のクレームに関するよくある質問とその回答を2つ紹介します。
理不尽・悪質なクレームにはどのように対応すればよい?
理不尽なクレームや悪質なクレームを受けたらその場での安易な返答は避け、弁護士に相談したうえで対応を検討することをおすすめします。このようなクレームにその場で対応してしまうと、不利な言質を取られて難しい立場に置かれるおそれがあるためです。
弁護士に相談し、必要に応じて弁護士がクレームに対応することで、状況に応じた適切な対処がしやすくなります。お困りの際は、アクセルサーブ法律事務所までご相談ください。
クレームを無視して工事を続行してよい?
クレームを無視して工事を続行してよいか否かは、クレームの内容によって異なります。中でも、日照権侵害など具体的な権利侵害の可能性がある場合はクレームを無視することは避け、弁護士に相談するなど慎重に対応すべきでしょう。
工事現場でのクレーム対応でお困りの際はアクセルサーブ法律事務所にご相談ください
工事現場でのクレーム対応でお困りの際は、アクセルサーブ法律事務所にご相談ください。最後に、当事務所の主な特長を3つ紹介します。
- 建設・不動産業界に強い
- 予防法務に力を入れている
- 業界実態を踏まえた実践的なアドバイスを得意としている
建設・不動産業界に強い
アクセルサーブ法律事務所は、建設・不動産業界のサポートに特化しています。業界の取引慣習や業界で起きやすいトラブル、起きやすいクレームなどを熟知しているため、より的確なリーガルサポートが提供できます。
予防法務に力を入れている
アクセルサーブ法律事務所は、「助け合い、称え合い、共に成長し、喜び合う―それが当たり前の世界を創る」ことを最終的な目標として見据えています。
これを実現し、お客様が安心して事業に専念できる環境を作るため、当事務所はトラブルやクレームを避ける「予防法務」に力を入れています。
業界実態を踏まえた実践的なアドバイスを得意としている
法的に正しいことと、経営として望ましいことは一致しないこともあるでしょう。当事務所は法的な正しさだけを追及するのではなく、法的なルールは守りつつもその先の「事業のさらなる発展・目標達成」も重視したアドバイスを提供しています。
まとめ
工事現場のよくあるクレームを紹介するとともに、工事現場にクレームが入った場合の初期対応やクレーム対応のポイントなどを解説しました。
工事現場のよくあるクレームとしては、振動・騒音に関するクレームや従業員の態度・マナーに関するクレーム、土埃などへのクレームなどが挙げられます。工事現場にクレームが入ったらまずは真摯に話や要求内容などを聞き、チームや社内で情報を共有したうえで具体的な対応方法を検討しましょう。解決策が検討できたらこれを提示して理解を得て、再発防止策を講じます。
特に対応に迷うクレームの場合はその場での対応は避け、弁護士に相談したうえで対応策を検討するとよいでしょう。
アクセルサーブ法律事務所は建設・不動産業界に特化しており、工事現場のクレームに関するご相談への対応実績も豊富です。工事現場へのクレームへの対応でお困りの際は、アクセルサーブ法律事務所までお気軽にご相談ください。


